文房具店でペンの出を確認するための「試し書き」。

 

試し書きマニアの著者が、世界各地の「試し書き」を集め、そこから各国の国民性を分析しようという野心的な一冊です。

 

「試し書き」集めは、国によっては試し書きの代償として、不要な文房具を購入させられることもあったそうですが、世界106カ国、2万枚収集したというのは、とにかく凄いの一言に尽きます。

 

しかも、その無駄に買った文具を活かし、「無駄に買った文具展」を開催するなどただでは転ばない感じはしたたかで面白いです。

 

本書では、各国の文房具事情なども知ることができ、著者が文具から読み取った分析を読んだあとに試し書きをみると、なんとなくその国を理解できるように感じました。

 

以下に本書でなるほどなと思った項目をまとめました。

 

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◆スペイン

スペイン語では、定年退職をフビラシオンというが、これは喜びを表すフビロから来ている。

 

◆イタリア

たとえばイタリアでは、日用文具は残念だが、高級品はかなりいい感じ。落差がすごい。

 

◆リトアニア

バルト三国は、まとめられるのを嫌う。

 

◆ルクセンブルク

ミシュラン星付きの店が多い。

 

◆マウライ

携帯やパソコンの普及率が低い。試し書きが出会いの場。

 

◆エルサルバドル

中米の日本と呼ばれる

 

◆南米のABC

アルゼンチン、ブラジル、コロンビアの三国。美人が多いとされる。

 

◆ブータン

ブータン人の描くぐるぐるは右回り。これはチベット仏教の回転の向きに起因する。ボン教は逆回転だという。

 

◆インド。

インドでは、数字の試し書きが多い。

19かける19までの九九を覚えるような国民性を反映している。

 

…九九を19かける19まで覚えると、どうなるのだろう。

まず381までの計算も暗算できるようになる。しかも、日本人で言う19かける3みたいなノリで、198かける19とかができるんだろうか。それは強い、と思った。

 

◆中国

情報規制のはけ口として試し書きが使われることが多い。

疲れた、信じることができない、リア充爆発しろ、とかネガティブなの多いそうです。

 

◆韓国

韓国では割り勘の概念がない。誘った人や目上の人が奢るのが基本。

そういえば韓国ってなぜかキリスト教盛んでヨブ記とか売れるらしいですね。

 

◆日本

「縦書きの国に生まれて、雨降りは物語だと存じております。」という試し書き。これはセンスある。

 

◆わらしべ長者の神カイルさんの話。

家を手に入れるという明確な目的をもって、青いボタンからスタートし、最終的に家を手に入れた。

 

◆試し書き合コン

試し書き持参し、そこからその人の人間性を判断することでマッチング率を上げる。

 

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◆終わりに
本書では、試し書き合コンとか試し書きの歌とかも収録されており、この人本当に試し書きを楽しんでるなというのが伝わってきます。著者が全力で楽しんでる本は、だいたい読んでて楽しいしよい本なのだなと感じました。

 

あと休みの日とかに文房具屋に行って試し書きで自己表現する遊びとか楽しそうかもと思いました。「今日はこれ書いてやるぜ!」みたいな迷惑にならない程度ならちょっとだけ販促効果ありそう。

 


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