「えっ、何これ!?」
朝起きて、仮泊まりの小屋から一歩出るやいなや、
私達は困惑し叫んだ。
「地面が輝いてる・・・!?」
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ここ、サンシャイングラードは文字通り、輝く大地で有名な土地であるそうだ。
地面に散在する、反光石と呼ばれる石が、太陽の光を乱反射し、異常なまでの輝きを生み出すのだという。
サンシャイングラードでは、地面からの照り返しが強いため、あらゆる影ができないことでも知られている。
私達は初めこそ面食らっていたが、宿のおかみが持ってきてくれたサングラスをかけると、反光石を取り除いた道路を確認することができるようになった。
「なるほど、それでみんなサングラスをかけていたんですね。」
「昨日は夕暮れだったから、気が付かなかったよ」
「曇ってたしねー」
「とりあえず、いくぞ。道からそれるなよ。」
私達は光の大地を今回の依頼者の村長の家に向かって歩き始めた。
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「光に気を付けなされ。ここらの獣は光の中に潜んで獲物を待つんじゃよ。」
村長の話では、この辺りには昔から魔物がいるらしいが、村人もこの土地を熟知していることもあり、幸い大きな被害は出ていなかった。しかし、最近、光の中から現れた魔物によって、村人が襲われる事件が相次いでいるそうだ。
「彼らの姿を捉えたものはおりません。襲われたものは、爪のようなもので切られたあとがあるということだけです。」
「姿は目では見えないかもしれないが。どうだ、行けそうか」
「恐らくは虎か何かでしょうね。索敵魔術を使えば問題ないでしょう。」
「なるほどな。オーケー。村長、この依頼引き受けましょう。」
「おお、やってくれるか。助かりますわい!」
***
翌日。
「爪をもつヘビか・・・」
虎用の罠が機能していないことから相手は虎ではないとわかっていたが、ヘビだとは思ってもみなかった。
村を出た私たちは30分ほどでその魔物に出会い、見失った。
敵は思ったよりも厄介だった。
相手は思ったよりも素早く、そして賢かった。
出会い頭に一度姿を見せたのちは、まったく姿を見せない。
近くにいるのは気配でわかる。
しかし、地面を這うヘビの動きのすべてが輝く大地にさえぎられてしまう。
どうする。。
長期戦で行くか。
いや、蛇ということは毒があるかもしれない。
受けた任務を放棄するのは気が引けるが、やむを得ないか・・・
「一旦下がるぞ。」
私は仲間に号令をかけ、光る大地を一目散に駆け出した。
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続く