愛別離苦 | ドット模様のくつ底

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奈良が好きなライターの瞬間ブッダな日々の記録。
福祉的な目線から心の問題を考えています。

去年に書いた記事の再編集です。


「僧力結集」が上梓する前のお話ですが、


よろしければご覧下さいませ。


【愛別離苦】


[あいべつりく]


親、兄弟、妻子など
愛する者と生別、死別する苦しみ。




「八苦」の一つです。

「八苦」とは、

人生上の八種の苦難を言います。


生・老・病・死の四苦に、


・愛別離(あいべつり)

・怨憎会(おんぞうえ)・

・求不得(ぐふとく)

・五蘊盛(ごおんじよう)


を加えたものです。


「四苦八苦する」などと言いますね。


私がお坊様本の取材をはじめたのは、昨年の七月下旬でした。

福祉の本ならば、


はじめにこの人へ取材をするといいのではという
東大寺のお坊様のアドバイス通り、

西大寺の佐伯俊源師のもとへ。

三時間近くにも及び、

仏教の変遷、お寺の歴史と

興正菩薩叡尊上人より受け継がれてきた理念などを、

(こうしょうぼさつえいそんしょうにん)

お話して下さいました。

「お坊様に問答」というコラムがあるのですが、

そこでは、ご参加頂いた皆さんに同じ質問をしておりまして、


「つらかったご経験は?」
と、


「しあわせと思うことは?」


を皆さんに問い掛けて参りました。


俊源様は、

つらかったことを、

「『愛別離苦』です。生きていく中で、

そういうことを体験せざるを得ないことはつらいです」。

しあわせと思うことは、

「生きて活動ができていること、それが全て」。

と答えておられました。



そして取材の五日後に、


俊源様のお父様が遷化され、


私はお葬式に参列することになりました。

取材の時に、
予期されていたのかもしれないと、今になって思います。



後日私は、自坊に校正用紙をお届けに上がったときが、
大変印象に残っております。


お母様のことです。


俊源様が大学へご出勤後でしたので、
お母様にお届けしたんですね。


そのときですね、


「うちの出来の悪い息子でお役に立ちましたか?」

とおっしゃいました。


俊源様は東大大学院卒、大学教授のお坊様です。


お姉様はハーバード大学大学院卒の大学教授です。

私には、

お母様のことばが、
本心だと伝わりました。

私にとって佐伯俊源師は、
立派な方です。


お母様はとても謙虚な方でいらっしゃいました。




余談ですが、

伝統野菜の「大和まな」からつけている私のペンネーム、

「大和真奈」のお名刺を渡したところ、



その名刺をしばらく眺めて


「字のバランスがいいわ。素敵なお名前ですね」


と誉めて下さったんですよね。




実はこの方、大学で書道を教えておられたりするような書家さんなのです。

文化サロンなどでも講座を開講されています。



日本の書家100選の奈良代表で名を連ねておられる方です。



私のペンネーム「やまとまな」と言うだけで、野菜を想像してしまい、

人から笑われることもあったのですが、


この方に誉めて頂いたことで名前にすごく愛着が湧いてきました。



↑なんて単純なんだ(笑)




東大大学院卒の大学教授=出来る方なのでは?


これは私のもつイメージです。

実際、取材では幅広い仏教の知識をお持ちで、

為になるお話を頂戴しました。



ただ、俊源さんの学歴や、今のお立場は、


この方が苦しみながら、努力してきた結果に過ぎず、

継続してこそ意味が出てくることなのかもしれません。

そしてお母様にとっては、

学歴やお立場などは関係なくて、


生・老・病・死、

四苦八苦を共に生きてきた、

息子なのだということです。



勉強になりました。

30分ほどでしょうか。


私としばらくお話して下さいまして、帰るとき、



「忘れません」。

と言って下さいました。


この言葉が忘れられません。


頂いたことばを私も忘れずに、生きていきたいと思いました。




読んで頂きまして、

ありがとうございました。


今日も皆さまが幸せでありますように。