奈良の鹿のことならこの一冊 | ドット模様のくつ底

ドット模様のくつ底

奈良が好きなライターの瞬間ブッダな日々の記録。
福祉的な目線から心の問題を考えています。

奈良の鹿―「鹿の国」の初めての本 (あをによし文庫)/著者不明
¥1,470
Amazon.co.jp

『奈良の鹿 「鹿の国」はじめての本』

(編者:永野春樹 京阪奈情報教育出版刊)

これほど「奈良の鹿」のことが詳しくわかる一冊はないと言えるほど、

鹿のことが書かれていますので、

本気で(笑)鹿のことが知りたい方におすすめの一冊です。

『僧力結集』『学べる!世界遺産の本 奈良』も

ここの出版社の本なんです。


2年前に発売されたものですが、今でも少しずつ出ているそうですね。

アマゾンでは編者不明となっていますが、

編者の永野氏は、

奈良の情報冊子を創りながら小説なども書かれている作家さんです。


内容について読み進めるのが難しい部分もありますが、

おそらく多くの方にとってこの本がお初かな?と思われるような、

知識の貯蓄になるお話が満載なんですよね。



愛護会、春日大社権宮司、鹿せんべいの武田商店、

学者、作家など各章に分かれて有識者の話で構成されています。



今日は天理大学おやさと研究所の幡鎌一弘先生の一節を

少しだけですが取り上げたいと思います。



鹿をテーマにした落語に


「鹿政談」(『米朝落語全集 第3巻』)があります。



この内容は正直者の豆腐屋の六兵衛が鹿を殺してしまい、

本来ならは興福寺の大垣回しのうえ、石子詰めの刑に処されることろですが、

奈良奉行の根岸肥前守が、それは鹿でなく犬だと押し切って、

処罰をしないという短い話です。


ところがこの話のまくらが長くてですね、


ご当地ネタを織り交ぜながら、江戸や京都などの名物をあげたり、

やがて奈良の話題として

「大仏に鹿の巻き筆あられ酒 春日灯篭町の早起き」という狂歌を

持ち出すそうな。


(あられ歌にかわり、奈良晒しが入るバージョンもあり)



最後の「町の早起き」(これは有名かも)は、

「奈良の人は早起きして 鹿が家の前に倒れていたら隣に運ぶ。

どんどん端においやって、どこかへやってしまう。だから早起きなのだ」と

いう話です。



この落語の前提では

奈良で鹿を殺めたら石詰めにされてしまうので、

鹿が死ぬということは大変なことなのだと強調し、

そのことを了解させるように書かれているといいます。



ところで何故、六兵衛は正直に鹿を殺めてしまったことを

申し出たのに、奈良奉行に犬だと押し切られ、処罰を免れたんでしょうね。



また「鹿と灯篭の数を数えると長者になる」という話があり、

これは落語でしばしば用いられるネタであるといいます。



話は続いて、しかしながら、奈良には長者になったものはいない、



鹿を数えてみても「しかとわからん」

灯篭も「とうろうわからなんだ」



と、落ちがつくんそうなんですねー。



落語のソースの部分には事実があっても、

虚構も織り交ぜながら創作されているのであくまでネタに過ぎないものですが、


落語が先か、伝説が先か、

それが真実として語られていったのか!?という話が

落語によって奈良には数多く残されてきています。



はてさて、皆さんも「鹿」と「灯篭」の数を数えてみたいですか!?(笑)






ドット模様のくつ底-DVC00538.jpg



今回の過去記事による「奈良の鹿特集」はひとまず終了です。


読んで頂きまして、ありがとうございました!