※3年前に開催されたフォーラム
―第12回 京都大学地球環境フォーラム―
「幸福」の価値観と次世代環境人材育成
のレポを順次再掲載していこうと思います。
プライベートでブータンの話題が出たのをきっかけに
思い出して読み直したのですが、個人的に面白かったので
まだ読まれていない方はよろしければどうぞ。
(頂いたコメントも残しています)
第12回京都大学地球環境フォーラム
「幸福」の価値観と次世代環境人材育成
3人目の講演者は、
京都大学大学院地球環境学堂
環境人材育成コンソーシアム幹事
日本GNH学会理事
松下和夫氏でした。
ブータンの国民総幸福(GNH)を研究。
まずはブータンの国の紹介がありました。
「GHNと持続可能な発展の政策融合」
―ブータンの事例から―
ブータンという国について
◆ヒマラヤ密教(チベット仏教)を国教とする仏教国
◆人口は約70万人
◆地区上の平面の面積は4万6千平方KM。
九州やスイスとほぼ同じ面積
◆北は中国、チベット、南はインドにはさまれている国。
南のインド国境は熱帯ジャングルで、海抜200メートル級の山々。
◆南北の直線距離は一番長いところでたったの200キロ。
非常に険しい山国で、ヒマラヤの氷河の融け水やモンスーンの雨を
受けた激流が流れる国。
そういう川々が年月をかけて彫り上げた山と谷が、
非常に複雑に組み合わさっている。
日本からの空路は
成田 ― バンコク ― バングラディシュのダッカ ― ブータン
何故ブータンに注目するのか
国民総幸福(GNH)
◆GNHはGNPより重要(1976年12月第4代ワンチュク国王)
◆人間が最も望むことは幸せ。幸せの定義は個人個人で違う。
けれども、その幸せの追求をしていくことが、人間が望むこと。
◆幸せは物質のみでは得ることはできない。国民の幸せを考える時に
必要なものは、最低限の物の豊かさは必要であるが、
それプラス、国民個人の精神的な和が大切。
家族の和、地域社会の和、それから、人間と自然との和、
そして国民一人一人が自覚して、アイデンティティとして共有できる歴史、
文明、文化が大事であるというもの。
◆世界中の国のほとんどは、
国家の目的、政策の目的を経済成長で豊かになることに置く。
◆ブータンは、それは目的でないと断言。
経済成長は国民が幸せを追求するための手段のひとつ。
成長の速度ではなくて、人の和を大切にする経済成長の質を、
いつも考えなくてはいけない。
◆GNHの4つの柱
・持続可能で公平な社会経済的発展
持続可能な農業(国民8割が農民)、医療費、教育費無料化
(国民の健康向上と教育の平等な普及)、道路等のインフラ整備
・環境保全
森林保全の数値目標(6割以上。法制化)、森林伐採許可制、
世界初の禁煙国家←販売も禁止!!
・文化と伝統の維持・振興
民族衣装、伝統建築(様式を規定、伝統を守る)
地域コミュニティ、家族のつながりの奨励
・よいガバナンス(政治)
民主的選挙、地方分権(2008年より立憲君主国)
②につづきます。
国民総幸福(GNH)②