『心の微笑み』(東大寺唯心会発行)
④のつづきです。
「色即是空」「空即是色」とは、
あらゆる形あるもの(人間も含めて)あらゆる生きとし
生きるもののすべての存在そのものの成り立ちにおいても、
そのものの本来の性質においても永遠不滅のものはなく、
縁によって、からみあい流転しているというのが、
存在そのものの実相であるし、そのような本性、
「空」を備えているからこそ、現実にすべての存在(色)は、
存在しうるのであると喝破されたのが心経なのだと思います。
私の体も、このボールペンも皆その例外ではありません。
佛教では、存在することを無闇に否定はいたしません。
在るものは確かに在ると認めるのですが、
「在るもの」は、いかにも「永遠にある」と思いがちな私たちに対して、
そうではないのだよと教えてくれるのです。
もし、このような考え方がしっかり身についていれば、
若者たちが死を恐れず他人を顧みず、
暴走するようなことも減るのではないかと思います。
また死の恐怖は人間の宿命的な恐怖ですが、
たとえ死から免れえないにしても確かな自覚と認識があれば、
その恐怖から、いささかでも
遠離(おんり)することができるのではないでしょうか。
(⑥最終回につづきます)
それでは今日も一日、
皆様が幸せでありますように。