おとぎの国からやってくる子どもたち① | ドット模様のくつ底

ドット模様のくつ底

奈良が好きなライターの瞬間ブッダな日々の記録。
福祉的な目線から心の問題を考えています。

(過去の記事ですが再掲載させて頂きます)



ヴィゴッキー(1896~1934 旧ソビエト)著


『子どもの想像力と創造』




この本は、人間の創造と子どもの想像を考える上で


生じる疑問に的確に答えを出している名著だといわれています。




かつて彼の子どもの「想像力」論を簡単にまとめていたものをベースに


今日は勉強をしたいと思います。




【まとめ】


想像は経験に依拠する。


また子どもの経験はだんだん形成され発達していくものである。




子どもの経験は、大人の経験に比べて非常に独特なものである。


たとえば環境への態度も子どもの場合、大人とは違っている。


環境は複雑さ、単純さによって、さらには伝統と影響力によって


想像の過程を刺激し、方向づけている。


また子どもと大人の興味も異なっている。


だからこそ、子どもの想像力は成人のものと違った働きをする。


創造的な想像の活動は非常に複雑であり、


実にいろいろな要因に依拠している。




子どもの発達の各時期において、


創造的な想像は、その子どもが位置している


発達段階に固有で特別な形で働いている。


子ども時代は、空想が最も発達している時期と考えられ、


この意見に従うと、子どもが発達するのに連れて


想像力とその子どもの空想力は低下していくという。




子どもの想像力が創造したものは、


成人の経験とは歴然として別物である。




よって子どもは現実の世界より、


もっと空想的な世界に住んでいると結論づけがなされる。


また、不正確さ、現実の体験の修正、誇張や、


子どもにとって特有のおとぎ話や、


空想的物語への嗜好も知られている。




子どもの興味は大人よりずっと単純で、


ずっと初歩的で、貧弱であることもわかっている。




結局、環境と子どもとの関係も同じことで、


成人の行動ならではの複雑さ、繊細さ、多様性というものが


子どもの行動には弱い。




しかし、実際には以上で述べたことすべては


想像力の働きを規定しているもっとも重要な要因である。




子どもの想像力は豊かなのではなく、


成人に比べて乏しいのである。




よって子どもが発達していく過程で想像力も発達し、


成人になってはじめて想像力も成熟する。




あらゆる領域の創造活動において、


真の創造的想像の産物は、


すでに成熟した大人の想像が成せるものである。




子どもが全般に成熟していくにつれて、


想像力も成熟しはじめ、過渡期の年齢において、


つまり性的に成熟しはじめる少年少女の時期において、


想像力の力強い高揚と


空想成熟の初期的な萌芽が結合するのである・・・・・・




(以上まとめ)




子どもの想像力というのは、


彼の理論でいえば、


真の意味での想像力ではないということになります。




それは大人の経験から生まれる想像力とはまた違った、


子ども特有の空想の世界がみせる、




「おとぎばなし」の世界があるということなんですよね。




この世界が幼児期に守られていてこそ、


大人になって想像したさまざまな産物が


生まれてくるということなんです。




「おとぎの国」からやってくる子どもたちのことを、


大人は大事に考えて未来を想像していきたいものです。






今日はここまで、ともに勉強をして頂きまして、


ありがとうございました。