聖徳太子 十七条憲法 第三条と第四条 | ドット模様のくつ底

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福祉的な目線から心の問題を考えています。

聖徳太子の十七条憲法は、


詩経・論語・尚書・管子・孟子・韓非子・陰陽五行思想などから、


いいところを取り入れて制定されているそうです。


第一条から第九条までの「天道部」は、


「何事か成らざらん」=「善い悪いではなく、宇宙というものはそのような法則になっているから、


受け入れていく以外にない」という天の命令として条文化されたものであり、


第十条から第十七条は「地理(ちのり)の部」は全て「失」(あやまち)、


つまり禁止条文=「生きとい生けるものはこういうことをせず謹んでいこう」という人の道を示す内容で構成されています。




(薬師寺・山田法胤管主著「迷いを去る 百八の智慧」参考)






今日は第三条、と第四条を書き記したいと思います。




十七条憲法


第三条、、第四条






(原文)


三曰。承詔必謹。君則天之。臣則地之。天覆地載。四時順行。万氣得通。地欲覆天。則致壊耳。是以君言臣承。上行下靡。故承詔必慎。不謹自敗。






(読み下し文)


三に曰く、詔を承りてはかならず謹め。君をば天とす。臣をば地とす。天は覆い、地は載(の)す。四時順(しいじしが)い行ないて、万気通うことを得。地、天を覆わんとするときは、壊(やぶ)るることを致さん。ここをもって、君言(のたま)うときは臣承る。上行うときは下靡(しもなび)く。ゆえに詔を承りてはかならず慎め。謹まずは、おのずから敗れん。






(現代語訳)


天皇の詔を承ったときには、かならずそれを謹んで受けよ。君は天のようなものであり、臣民たちは地のようなものである。天は覆い、地は載せる。そのように分の守りがあるから、春・夏・秋・冬の四季が順調に移り行き、万物がそれぞれに発展するのである。もしも地が天を覆うようなことばあれば、破壊が起こるだけである。こういうわけだから、君が命ずれば臣民はそれを承って実行し、上の人が行うことに下の人々が追随するのである。だから天皇は詔を承ったならば、かならず謹んで奉ぜよ。もしも謹んで奉じないならば、おのずから事は失敗してしまうであろう。






(原文)


四曰。群卿百寮。以礼為本。其治民之本。要在乎礼。上不礼而下非齊。下無礼以必有罪。是以群臣有礼。位次不乱。百姓有礼。国家自治。






(読み下し文)


四に曰く、群卿百寮(ぐんけいひゃくりょう)、礼をもって本(もと)とせよ。それを民を治むる本は、かならず礼にあり。上、礼なきときは、下、斉(ととのお)らず。下、礼なきときは、かならず罪あり、ここをもって、群臣礼あるときは、位次(いじ)乱れず。百姓(ひゃくせい)礼あるときは、国家おのずから治まる。




(現代語訳)


もろもろの官吏は礼法を根本とせよ。そもそも人民を治める根本は、かならず礼法にあるからである。上の人びとに礼法がなければ、下の民衆は秩序が保たれないで乱れることになる。また下の民衆のあいだで礼法が保たれていなければ、かならず罪を犯すようなことが起こる。したがってもろもろの官吏が礼を保っていれば、社会秩序が乱れないことになるし、またもろもろの人民が礼を保っていれば、国家はおのずから治まるものである。




(「聖徳太子 法華義疏(抄) 十七条憲法」 滝島尊教訳部分 中央クラシックスより)








特権を悪用するものがいる限り、社会秩序は守られないのでしょうね。




一四〇〇年以上前から人の行いは変わらないことがわかります。