2023年11月16日 深まる秋。 いまこそ花束を! | 横浜市中区の山手パーク歯科のブログ(石川町)

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横浜市中区石川町の歯医者が日々の生活で気付いたことを綴る趣味の日記です。最近では歯科の話以外の趣味やペットのブログにになりつつあります。。。

  2023年11月16日 深まる秋。
          いまこそ花束を!




11月も半ばになりました。

少し前まで台風のような天気や妙に暖かい日があって戸惑うことがありましたが、 ここ数日で急に冷え込んできました。

山間部行楽地から始まった紅葉がしだいに降りてきて、私たちが生活する都市部市街地の公園の木々や街路樹も色づき始め、しだいに秋が深まってきています。



今月3日は文化の日で、文化的なことを意識する季節です。

柄にもなくゲージュツ的なことを言わせてもらえれば、私は絵画鑑賞が好きです。

 

と言っても特に詳しい訳ではなく、たまに目にする巨匠の名画に心惹かれるものがあるくらいのことなのですが…。




印象派と呼ばれるものに好きな作品が多いです。

 

クロード・モネ「印象・日の出」は、「印象派」というカテゴリーのネーミングの由来とされる作品で、早朝の港の風景に静かな希望を感じます。



オーギュスト・ルノアール「ムーラン・ドゥ・ラ・ギャレット」はモンマルトルのダンスホール。

 

今で言う流行りのクラブ、バブル世代の私に言わせれば流行りのディスコです。

木もれびのもと集う人々はいかにも楽しげで、当時の華やかな社交界の様子がうかがえますが、ルノアールが描くと親密ながら上品で健全な雰囲気になります。



エドゥアール・マネ「フォリー・ベルジェールのバー」は、ダンスやサーカスやパフォーマンスなどのショーを楽しむパリのミュージック・ホールのバーカウンターで、背景の鏡に会場内が映し出されているという凝った構成です。

こちらも当時の華やかな社交の場ですが、都会的洗練の裏側の頽廃・不健全・虚無感を作為的な構図のズレまで利用して、見事に表現されていて絵画の中に物語を感じます。



フィンセント・ファン・ゴッホ「星月夜」は、代名詞的なモチーフの一つである糸杉のある夜景なのですが、ダイナミックに渦を巻く明るい星月夜の独特な表現に吸い込まれそうになります。

ただ有名な作品なら何でもいいという訳ではなく、その作品に心惹かれるかどうかで判断しています。



それ以外ではヨハネス・フェルメール「真珠の耳飾りの少女」は、かすかな微笑みに神秘性を感じます。

アルフォンス・ミュシャはアール・ヌーボーの華やかな作品もいいのですが、「スラヴ叙事詩-故郷のスラヴ民族」は、故郷を追われた人々の哀しみ・不安・絶望感が伝わります。

パブロ・ピカソ「ゲルニカ」は、その強い反戦メッセージの迫力に圧倒されます。



アンディ・ウォーホル「キャンベルのスープ缶」などは、気取らない軽快さで面白いと思います。

デイヴィッド・ホックニー「スプラッシュ」は、カリフォルニアの明るい乾いた夏の雰囲気に心癒されます。

ホックニーは、最近放送された「日曜美術館」という番組で特集されていてとてもよかったです。



キース・へリングの作品は、シンプルなカジュアル感でかわいらしさとハッピーが伝わります。

グラフィティー・アート作品つながりで近年注目しているのはバンクシーです。

2018年10月、作品「風船と少女」がサザビーズのオークションにおいて1億5千万円で落札された直後に額縁に仕込まれていたシュレッダーで細断され、タイトルが「愛はゴミ箱の中に」と改題されて物議を醸したエピソードは有名です。



私が好きな作品は ” Aachoo!!” ( ハックション!!)です。

彼の作品にしてはメッセージ性があまりなく、ユーモアが強く感じられてとてもいいです。

職業柄、描かれている高速飛行物体にも強い親近感を覚えます。



ところで10月7日から1ヶ月以上、ガザ地区でイスラエルとパレスチナの激しい衝突が続いており、双方で幼い子供たちを含む多くの方々が傷つき亡くなっている惨状を伝えるニュースに心を痛めています。

ニュースはすっかりガザ地区一色で、まだ終わっていないウクライナの戦争が置き去りにされているように感じます。



衝突のきっかけはパレスチナによる攻撃で、それに対するイスラエルの反撃はやり過ぎだというのが今回の大方の見方のようですが、民族・宗教・聖地や世界情勢も絡んだ長い歴史を持つ根深い問題です。

いずれにせよ「正しい暴力」というものはないはずです。

こんな風に芸術を語っていられる平和のありがたさを強く感じます。



バンクシーは以前からこの問題に深い関心を持ち、多くのメッセージ性の強い作品をこの地域に残しています。

代表作の一つである ” Love is in the Air “( Flower Thrower ) / 「愛は空中に」(花を投げる者)はベツレヘム近郊アッシュ・サロン・ストリート沿いのガソリンスタンドの壁に描かれました。



過去のインティファーダ(民衆蜂起)の際、武装したイスラエル軍に対して投石で抵抗するパレスチナの市民をモチーフに、石や火炎ビンではなく花束を投げようとしている瞬間が描かれています。

グラフィティー(落書き)・アートなのでこの作品が現存するのか定かではありませんが、一刻も早い紛争の終結を祈っています。



いまこそ花束を !

” Love is in the Air !! “