卑弥呼はどこで梯儁と面会したのか? | 邪馬台国と日本書紀の界隈

邪馬台国と日本書紀の界隈

邪馬台国・魏志倭人伝の周辺と、まったく新しい紀年復元法による日本書紀研究についてぼちぼちと綴っています。

 魏志倭人伝は、240年に女王国にやって来た梯儁(ていしゅん)の記事で次のように語っています。

 

正始元年 太守弓遵遣建中校尉梯儁等 奉詔書印綬詣倭国 拝仮倭王并齎詔賜金帛錦罽刀鏡采物 倭王因使上表答謝詔恩

(訳)正始元年(240年)、帯方太守の弓遵(きゅうじゅん)は建中校尉(けんちゅうこうい)の梯儁らを派遣し、詔書と印綬を奉じて倭国に至らせた。梯儁らは倭王(卑弥呼)に謁見し、あわせて詔をもたらし、金、帛(絹)、錦、罽、刀、鏡、采物を賜与した。倭王(卑弥呼)は上表文を梯儁らに託し、皇帝からもたらされた恵みに答謝した。

 

 よく「梯儁らは卑弥呼に会っていない」という説を耳にすることがありますが、この記事を読むと、梯儁が卑弥呼に謁見したのは明らかです。

 「倭王」と「女王卑弥呼」は別人だというような説もありますが、卑弥呼は「王」として共立されていますし、魏の皇帝からも「親魏倭王」の称号を与えられていますから、魏志倭人伝の「倭王」は「女王卑弥呼」のことと考えて間違いないと思います。

 ですから、卑弥呼と梯儁が対面したのは間違いありません

 

 これと関連して、「梯儁は邪馬台国まで行っていない」という説があります。基本的には、梯儁は邪馬台国まで行かず、卑弥呼にも会っていないという論考ですが、この「梯儁は邪馬台国まで行っていない」と「卑弥呼と梯儁は面会した」を組み合わせると、「卑弥呼が伊都国まで出向いて、梯儁と面会した」というような推論が出来上がります。これはけっこう根強い説です。

 

 しかし、私は、梯儁は卑弥呼の都があった邪馬台国まで足を運んで、卑弥呼の宮殿で謁見したと考えています。

 

 理由はいくつかありますが、まず、「比較的詳細な卑弥呼の人物像と生活ぶりが記されている」ことです。

 卑弥呼は、「鬼道で人々を惹きつけ」、「年は長大で」、「夫はいないが、国を治めるのを助ける弟がいる」と記されます。そして、1000人の婢を侍らせ、一人の男が食事や伝言のために卑弥呼の居処に出入りしているとも書かれています。

 また、卑弥呼の住んでいるところについても、宮殿や楼観があり、城柵を設け、常時武器を持った人が守っているとも記されています。

 これらの記事は倭人からの伝聞だけでは書けないように思えます。実際に梯儁たちが目にした光景ではないかと思います。卑弥呼がどういう女王なのかを調査報告したのでしょう。つまり、卑弥呼の宮殿まで足を運んだということです。

 

 もうひとつ、魏志倭人伝中、倭の地誌についての説明を終えて、魏と倭の交渉史に入る直前の文章にこのようなものがあります。

 

倭地絶在海中洲島之上 或絶或連 周旋可五千余里

(訳)倭の地は、遠く離れた海の中の洲島の上にあり、あるいは海で隔てられたり、あるいは陸続きであった。巡っていった道のりは5000余里ほどである。

 

 これは、原史料が梯儁の報告書だと想定すると、倭(女王国)の最初の国である狗邪韓国から、最終目的地である邪馬台国までの道のりが5000余里ほどであると述べていることになります。

 狗邪韓国から伊都国までは3500余里ですから、終点は伊都国ではありません。邪馬台国と考えてよいと思います。

 そうすると、この記事も、梯儁が邪馬台国まで行ったということを裏付けているようにもみえます。

 

【方保田東原遺跡】私が、梯儁の到着した邪馬台国の拠点集落と考える場所です。

 

 以上のように考えてくると、やはり「梯儁は邪馬台国まで行って都の宮殿で卑弥呼と会った」と結論付けてよいような気がします。

 「建中校尉」の梯儁と「親魏倭王」の卑弥呼では、卑弥呼の方が位が高いような気もします(間違っていたら訂正します)ので、卑弥呼がわざわざ出向くことはないように思います。

 

 

YouTube【古代史新説チャンネル】邪馬台国と日本書紀の界隈

新作配信中です! チャンネル登録もぜひお願いします。

↓↓↓

古代史新説チャンネル - YouTube

 

 

【邪馬台国の界隈】最新動画

「女王国」と「邪馬台国」は同じ国?

 

 

 

【日本書紀の界隈】最新動画

初期天皇の治世に空白が多い理由!〈新用語「無事績年」をわかりやすく解説〉

 

 

 


 

 

 

 

【古墳の界隈】最新動画

仁徳天皇陵古墳に仁徳天皇は眠るのか?

 

 

 

お読みいただきありがとうございます。よろしければクリックお願いします。

 

にほんブログ村 歴史ブログ 日本史へ   
にほんブログ村   古代史ランキング

 

*****

【ヤマト王権前夜】日本で何が起こっていたのか!? 重版好評発売中!

 

 

 

*****

【ヤマト王権誕生】新説続々! 新しい紀年復元で『日本書紀』を読む!

 

 

 

*****

【邪馬台国】新しい視点から倭人伝を読み解けば熊本に!