❀  ポンボンに願いを  Ⅱ  ❀ | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン


ピンクのポンポン★97

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏のソロツアーで止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。

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 いよいよ明後日からコンサートという日の帰り道、嘘の様な出来事が起こった。

 信号が青に変わり、前の車に続いて愛車を発車させて間もなく、記憶が飛んだ。信号無視をした業務用の4tトラックに衝突されたのだった。

 疲労による居眠り運転と言っても、同情の余地無し!

 事故の翌日に、意識はあったらしいけれど、ちゃんと分かるようになったのは、事故から一週間が過ぎた頃で、その時は顔や首、腕、肋骨の痛みがひどくて何も考えられない状態だった。

 エアバッグが作動して、大事には至らなかったものの、傷みがずっと続いたし、事故による衝撃で歯が三本も抜けて、エアバッグによる衝撃で肋骨二本にヒビが入り、首はムチウチ、右の腕や足には打撲ができて、中々、治らず、打撲はそのまま痣になって治らないのではないか?と思う程に、ひどく腫れ上がり、色もひどい。


 傷みと闘いながらも、何とか、冷静に話が出来るようになった頃、改めて、加入している保険屋さんに来て貰い、治療費以外で先方に責任を取って貰いたいことを話し合った。

 最初に、保険屋さんから言われて、カチン!と来たことが、加害者側は業務中の運転だったので、専門の弁護士がついているため、治療費と車の修理費用、治療のために会社を休んだ分の休業補償以外は、難しいのではないか?と、はっきりと言われたことだった。
 後遺症に関しても、明確なものでなければ、以前から同じような症状が出ていたのではないか?と突っぱねることは当たり前で、今回は交通量の多い夕方で、救急車を呼んでくれた人が救急隊員に名前と連絡先をきちんと知らせていたこと、そして、救急車を呼んだ人が私の前を走っていた運転手さんだったので、事故を起こした運転手の信号無視が、完璧に照明されているだけでも、マシな方だとまで説明された。

 保険屋さんに悪気はなく、過去に自身で対応した時に、先方の弁護士から言われた言葉まで並べてくれた。
 見た目、私と年齢が近く見えたので、若いのに大変な仕事をしていると思いつつも、つきつけられた現実に納得できず、とりあえず、翌々日に再度、来て貰うことにした。


 傍で話を聞いていた母も納得できなかったようで、仕事帰りの父に病院へ呼んだほどだった。
 相手が一部上場している企業のトラックだったので、補償がきちんとなされると考えていた父は、母から話を聞いて、やはり激怒した。
 話を一通り終えた後、母が言った言葉で、事故後、初めて大切なことを思い出したのだった。


 保険屋さんの話だと、決して相手がお金を払わないであろうことに対して、補償金を請求したくなった私は、その夜から色々と考えた。先ずは保険屋さんを納得させなければ、話は進まない!


 翌々日、私は準備済みだった旅行鞄を母に持ってきて貰い、鞄からピンクのポンポン出して貰うと、足の上に置いて貰い、布団で隠して貰った。

 時間通りに保険屋さんが来てくれたので、こちらの感情を殺して、過去に結婚を控えた人が事故に遭ったケースを担当したことの有無と、その場合、相手が自家用車を運転していた場合の補償がどうなるのか?ということを質問した。
 私自身の事故とは無縁なので、保険屋さんが首を捻ったけれど、職場に結婚を控えた同僚がいるからと告げると、保険屋さんも、傍で話を聞いていた母も納得した。

 保険屋さんは、私は担当したことはないけれどという前置きをした後、他の人が担当した件で、そういう事故もあったため、加害者から、どういう補償内容になったのかということを分かりやすく説明してくれた。


 続いて、ちょっと雑談という前置きで、好きなアイドルの有無から話を始めると、幸運にもアイドル大好きな保険屋さんで、私同様、首都圏へコンサートを観に行くこともある人だと分かったので、私の本音を告げた。
 最初は、無理ですよと、明らかに逃げの姿勢に出ようとしたけれど、泣き落としと脅迫を三〇分程繰り返すと、相手が補償するかどうか分からないけれど、先方への補償要求に加えることは認めてくれたので、ついでに、コンサートのために新調した服や靴、そして払い戻しができなくなった列車のチケット代やホテルのクーポン、コンサートに行けなくなったことに対する精神的な哀しみについても補償して欲しいことも明確に伝えた。

 勿論、どこまで補償されるかはわからないし、認められない可能性は高いけれど、何もせずに我慢することに納得できないことをはっきりと伝えた。

 「確かに、コンサートは、本人か引退しない限り、何時かは何処かであることは分かっているけれど、内容が違うから、見逃したことによる悔しさよりも、哀しみが大きいの」
 冷静に、そう告げると、アイドル大好きの保険屋さんも納得したのだった。

 そして、最後に私は付け加えた。九月も諦めることになるけれど、そちらに関する補償は請求しませんと、必ず相手に伝えて、記載して欲しいことも伝えた。


 ケガが完治して、補償の問題が合意するまでも時間がかかると思うし、打撲で神経がマヒした部分の後遺症については、まだ何も断言できないと医師から言われている。
 長い時間がかかるのなら、暫くは、コンサートへ行けなくなってしまったことを、悔しく、そして残念に思いたい。

 去年のユニ魂まで一緒に出掛けていたミセスの同級生が、二月に結婚し、ソロ魂の申し込みが始まる前に妊娠が分かったので、一人で出かけることになっていたことが幸いだったかもしれない。
 彼女の性格を考えると、事故に遭った私に遠慮して、自分も出かけないと言ってと思うので。


 母が自分のお昼を食べるために病院の食堂へ行ったので、電波オフモードのスマホに充電器とイヤホンをとりつけた。
 左手で布団の中に手を入れて、ピンクのポンポンを取り出してみるも、握るという行為そのものさえ痛くて辛い。

 次回、一日も早くソロ魂の予定が決まります様に!


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