❀  夢まで一歩  Ⅲ  ❀ | ぴかるんのブログ

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ピンクのポンポン

ピンクのポンポン★88-3

 尚、ピンクのポンポンの時計は、今も去年の夏のソロツアーで止まったままなので、登場人物が過去の出来事を考える時、1年の時差が生じますので、ご了承下さい。

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 あのクリスマスコンサートの日以来、
 「次回のコンサートの時こそ、結婚していたい!」が、終演後の彼女の口癖だったのに、去年の秋のユニットのコンサートの終演後は、その口癖が出なかった。

 ほぼ結婚が決まりかけているからかな?とも思ったけれど、だったら、
 「次回のコンサートの時は、遂に、ミセスかもね!」くらいのことを言ってそうに思えたのだった。

 結局は、退場のために立ち上がり、通路を歩き始めても、建物を出て駅へ向かって歩き始めても、電車に乗ってからも、いつもの口癖が出ない彼女のことが、段々と気になり、電車を降りてから彼女に訊いた。

 「彼と何かあったの?」
 途端に彼女の表情が変わり、俯いてから言った。
 「お互いに一人っ子同士のせいか、彼の両親が乗り気じゃないみたいなの…… それに、彼、あの通り優しい人だから……」


 一度は三人で、二度目は双方の友達を含めた八人で食事に誘われたことがあったけど、確かに、彼は誰に対しても優しい人だった。

 彼の友達の一人が、父の日や母の日に花束を欠かさないことや、お誕生日には外で食事を御馳走している話を聞いた時、彼女を除いた女四人が、
 「優しい人なのか? 優しすぎる人なのか?が分からない」と少し議論してしまった程だった。


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