第642回『料理人のワイン知識―㉞』
「ワインの格付け―⑥ ワインの格付けの概要―⑥」
こむずかしい話にもう少しお付き合いください。
すでにご承知の通り、イギリスはEU(ヨーロッパ連合)離脱へと、国の方針の
大転換が計られ、EUも揺れ動いていますが、それは横に置いて。
フランスはヨーロッパの中でも大国で、EU統合の中心的な国の1つでした。
EUは通貨を統一し、様々な分野での共通市場制度の導入へと向かいました。
ワインにおいても同様の考えではあったのですが、
なかなか進みませんでした。(詳しい中身はこの後の話の中で。)
市場の統一というのは、
各国のワインがEU内を自由に動くために、供給過剰になり易くなります。
さらに、世界的な市場開放も進んだためにヨーロッパ以外の
品質の高いワインが世界中に出回るようになり、EUとしても
ワインの共通市場制度の導入へと本腰を入れざるを得なくなります。
制度の方針の柱は、EU域内の、ワインの品質保証制度と、それに伴う、
原産地特定(原産地保証)の簡素化です。つまり、
ワインの品質と原産地の特定を簡単に認識できる制度への移行です。
そして、2009年8月1日 「EU、ワイン共通市場制度」 として施行されます。
フランスは移行期間を設けて、
2011年末までに徐々にEUの区分へと変更していきました。
かなり駆け足で話が進みましたが、この、
フランスのワイン法からEUの制度への変更が
わかり易いようで、そうでもないようで・・・・・。
次回から、フランスのワイン法とEUのワイン制度の違いをみていきましょう。