第386回『小麦粉について―①』 | シェフの料理教室

第386回『小麦粉について―①』

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「折り込みパイに使う小麦粉とは?」


折り込みパイ生地は製造法により3つの特徴ある生地となることは

前回までお話してきました。


デトランプとバターとの層の構造の違いが、

焼き上がりの持ち上がりと食感を決定しますが、

さらにこれらをより特徴を強くするのがデトランプに使用する

小麦粉の種類です。


小麦粉についての詳しい話は次回以降にすることとし、

折り込みパイ生地に使う小麦粉について考えてみましょう。


ちなみに練り込みパイ生地に使う小麦粉は薄力粉です。


折り込みパイ生地では基本的には薄力粉と強力粉をブレンドします。


これは、練り込みパイ生地は、

グルテン形成を極力させないことが良いとされますので

グルテンの少ない薄力粉が適します。


一方、折り込みパイ生地は良質のグルテン形成が不可欠です。


強力粉はグルテン量が多いので折り込みパイ生地に適した小麦粉と言えます。


もう少し具体的にお話すると薄力粉のみ強力粉のみでも当然作れます。


しかし、焼成後の違いは明確です。


例えば、薄力粉のみでは焼成後は、持ち上がりが少なく層がはっきりと出にくい

傾向にあります。


食感はやわらかく優しく崩れる感じです。


一方、強力粉のみで作ると焼成後はしっかりと持ち上がり層もはっきりしています。


食感は硬めでぱっちりとした主張ある崩れ方をします。


薄力粉と強力粉でこれだけの違いがあります。


何度もお話してきましたが、折り込みパイ生地の焼成時の層を形作るのは

デトランプ層です。


ですから、このデトランプ層をどのように仕上げたいかで

デトランプを作る時の小麦粉を決めなくてはいけません。


また、グルテンは小麦粉と水を練ることで形成されていますので、

強力粉が増えれば水の量も基本増やすことになります。


ちなみに私の店では料理によっては機械折りのパイシートを使いますが

手折りであれば基本薄力粉と強力粉は半分づつでブレンドします。


また、手折りの場合、夏と冬とでバターの硬さが全然違いますので、非常に

神経を使います。


当然デトランプの薄力粉と強力粉の配合も変えることもあります。


小麦粉の特性をしっかり知ることが大切です。

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次回より小麦粉について詳しく見ていきましょう。

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