前回、宙組を見たあとは、芝居は見ていません。4月は歌舞伎座には行く予定はありません。5月もたぶん行かないと思います。これからの観劇予定は、宝塚(雪組公演)だけが決まっているだけです。

 芝居以外では、4月に久しぶりにライブに行きました。クレイジーケンバンドのライブで、2月に予定されていたものが延期されたものです。今回も、直前のライブがコロナで延期になっていたので、心配しましたが、どうにか見に行くことができました。久しぶりに楽しかったです。5月にもライブに行く予定があります。予定どおりにライブが開かれますように。

 

 さて、先日、「ナカテン」と「読点」の使い分けについて、質問を受けました。「ナカテン」は「中黒」「ぽち」などとも言われる記号です。「・」です。「読点」は「意味の切れ目を示すため、文中に施す「、」の符号」(『大辞林』)のことを言います。「、」です。同じ役目をする記号として、横書き文では「,」(カンマ、コンマ)が使われることがあります。

 この「ナカテン」と「読点」の使い方については、文部科学省による「くぎり符号の使ひ方(句読法)」(1946)および「公用文作成の要領」(2022)に明記されています。

 出版社や学校教科書などでは、主に前記のものをもとに句読法を使っているようです。

 後者は最近発表されたものです。少し話がずれますが、「公用文作成の要領」では、これまで横書きの場合「、」「。」ではなく「,(コンマ)」「.(ピリオド)」を使うとされていたものが「、」「。」を使ってもよいことになりました。また、英語で使われる記号なので、公用文などでは使わないことにしていた「!」「?」も使えるようにしたというのがポイントでした。

こうした文部科学省の発表によれば、「ナカテン」と「読点」の使い分けははっきりしません。「くぎり符号の使ひ方(句読法)」(1946)によれば、「ナカテン」は単語の並列の間にうつことになていますが、この「ナカテン」のかわりに「読点」を使うこともできます。

 例えば、「まつ・すぎ・ひのき・けやきなど」「まつ、すぎ、ひのき、けやきなど」、どちらでも問題ありません。

 1つの文の中で、「ナカテン」と「読点」を併用する場合は、2つの意味があり得ます。ひとつは、「ナカテン」によって単語をグループ化できるということです。

 例えば、「明日、東京を立って、静岡、浜松、名古屋、大阪・京都・神戸、岡山、広島を6日の予定で見て来ます。」この場合、「ナカテン」で示されている「大阪・京都・神戸」は1つのグループ=この文の場合、1日で見て回る地域としてひとまとめにされている、ということがわかります。

 もうひとつ、「読点」は「助詞「が」を省略」していることを示すことができます。

 例えば、「米、英・仏と協商」とすることで、「アメリカが、イギリスとフランスと協商を結んだ」という意味を示すことができます。

 なお、「ナカテン」でしか示せないものとして、外国人の名前の姓と名の間の点と箇条書きのときに最初に付ける点です。前者は明治時代には「、」で示されていることもありましたが、現代では「ナカテン」が原則です。ここでも少し話はそれますが、外国人の姓名の間に半角スペース、あるいはスペースのみを入れて、記号を入れないというやり方が特に最近増えています。「・」は記号であり、もともとの原語に記号に相当するものがないのに、勝手に記号を入れるのはおかしいと考えてのことのようです。例えば「つのだ☆ひろ」の「☆」、「藤岡弘、」の「、」のように、記号を名前の一部としてとらえるようになっている傾向から、このように考えられるようになっているようです。外国人名の姓名の間に入れる「・」は、あくまでも読みやすさ、わかりやすさのためのものです。それが人名の一部というわけではありません。外国人の名前はどこで区切れるのかわからない場合も多いため、カタカナ表記する際には必要不可欠だと考えます。フランスの人名には、名前に「=」が使われる場合もあります。「ジャン=ポール・ゴルチエ」などです。これについては、「ジャンポール・ゴルチエ」と表記することが原則になります。日本語の表記の記号として「=」は使いません(算数、数学の記号で等号として使われるだけです)。つなげて読むところでもあり、姓名の区切れでもなく、大きく捉えれば名にかかるところなので、何も記号なしで書きます。

 さて、話を戻して、「ナカテン」と「読点」の使い分けについて続けます。

国では大枠が定められているだけで、細かくは決めていないことがわかります。こうしたルールを下敷きにして、出版各社や教科書会社などでは、もう少しはっきりとした決まりを作っています。手元にある資料で言えば、三省堂では、「単語の並列」という部分を「名詞の並列の場合」と書き換えています。

 確かに、「暑さ、寒さも彼岸まで」ですが「暑さ・寒さも彼岸まで」には違和感があります。形容動詞については、単語によるかもしれません。「数学的・科学的観点から」の場合、「読点」のほうが違和感がないように感じますが、「ナカテン」でもいいと考える人がいそうです。

 以上のことから、「ナカテン」と「読点」については次のようにまとめられます。

 

①単語の並列の場合に「ナカテン」を使うことができる。この「単語」とは名詞に限られると考えたほうが妥当。ただし「ナカテン」を使わなければいけないわけではなく、「読点」を使ってもかまわない。

 

②「読点」はあくまでも読むときに読みやすくするもので、「ナカテン」は単語をグループ化する目印になるもの。単語の並列の中で、グループ化が必要な場合は、「読点」と「ナカテン」を区別して使う必要がある。

 

③明確な使い分けがあるわけではなく、人によって感覚が異なるので、その文章の中で、使い方を統一しておけば問題はない。