NHK朝ドラ「エール」では、先週から今週にかけて「椿姫」の歌唱がたくさん流れるので、とても楽しみに見ています。
今朝(6月2日)は、「椿姫」公演に向けての本格的なレッスンが始まりました。音の歌は決して悪くないと思いましたが、演出家には厳しいダメ出しをされていましたね。本当は千鶴子がやるべきだったと陰口までたたかれて、ちょっとかわいそうでした。
アルフレード役の久志とともに歌っていたのは第三幕の終盤、デュエット「パリを離れて」。病床のヴィオレッタのもとにようやくアルフレードが駆けつけてヴィオレッタを抱きかかえます。そして、「パリを離れて郊外で楽しく暮らそう」と二人で歌う、ひとときの穏やかな歌です。しかし、そのとき既にヴィオレッタは重篤な状態で、間もなく次の場面で息を引き取り、郊外での生活は儚い夢に終わります。
絶望のなかのわずかな希望を歌う難しい歌です。ヴィオレッタはアルフレードにもたれながら歌うので、この体勢で発声しなければならないという難しさもあります。久志が優しくリードしてくれていたのは救いですね。ただ、これを裕一が見たら「その人、人妻だからね」ともう一度忠告したくなりそうな場面でもありました(笑)
そのあと、音の居残り練習に双浦環がやってきてアドバイスをします。そのときも一瞬楽譜が映ったので、よく見ると、音が練習していた箇所と違う箇所を双浦環は指摘していました。とうとうエールの緻密な作り込みにもほころびが生じたのか、それとも画面に映る前に音がその部分を歌っていたという設定になっているのか、真相は不明です(笑)
ここにブレス(息継ぎ)を入れろというアドバイスでしたが、放送の中ではこの部分は歌っていませんでした。
また、名演奏をいくつか聴いてみましょう。
ヴェルディ「椿姫」より「パリを離れて」
Giuseppe Verdi, La Traviata, "Parigi, o cara"
Anna Netrebko, Rolando Villazon(「パリを離れて」は1分45秒から)
Diana Damrau, Juan Diego Florez
Renee Fleming, Joseph Calleja
Ermonela Jaho, Francesco Meli
Maria Callas, Alfredo Kraus