不定期の更新ですが、ご覧いただきありがとうございます。

 

 

前回のブログで記載した3社からのラフプランの提案と相見積もりの結果、坪単価、建築費用の比較では

 

ウンノハウス < 一条工務店 < 吉成建築

 

となりましたが、ここからは費用面だけでなく、住宅性能、仕様、設備、想定されるオプション等も含めて総合的に比較・検討した経過を記載したいと思います。

 

 

構造、耐震性

構造は3社とも木造ですが、ウンノハウス(以下、U社)と吉成建築(以下、Y社)は在来工法である木造軸組工法に耐力壁パネルを組み合わせたもので、一条工務店(以下、I社)のi-smartは2×6工法(木造枠組工法)になります。

3社ともに耐震等級3の建物となっており、いずれで建てたとしても地震に強い建物となります。

 

断熱性、気密性

断熱構造は標準、オプションを問わず、外壁のダブル断熱とトリプル樹脂サッシ仕様で見積もりをしていただきました。

 

I社のi-smartは両項目とも標準仕様です。 

 

Y社はスーパーウォール・デュアルとトリプル樹脂サッシを組み合わせた仕様が可能ですが、いずれもオプション扱いになります。

 

U社は3グレードある商品のうち、最上位である「EPOCH SSG」を選択すると上記仕様を満たします。

 

外壁の断熱は、I社は硬質ポリウレタンフォーム系のダブル断熱(合計190mm)で、Y社も同じく硬質ポリウレタンフォーム系のダブル断熱(合計150mm)です。これに対してU社はポリスチレンフォーム系のダブル断熱(合計120mm)です。

 

I社は外内ダブル断熱が標準仕様であり、2×6工法であるため140mmの厚い壁の外内に合計190mmの断熱材が施工されるうえ、床(140mm)と天井(235mm)も厚い硬質ポリウレタンフォームの断熱材が施工されることから、他の2社よりも断熱性能で勝っています。

 

一方、U社については、外壁内外の断熱材の表面に遮熱材(アルミ薄膜)がダブルで施工してあるほか屋根にもアルミ遮熱材が入ります。夏場を中心に外壁や屋根からの輻射熱による室温上昇や、冬場の室内から壁外への輻射熱による熱損失を遮断するのに有効だと思われます。

 

窓の仕様は3社ともLow-Eガラスのクリプトンガス封入のトリプル樹脂サッシを採用し、I社は自社製、U社とY社はリクシル製です。

 

サッシの熱貫流率で比較すると断熱性能は拮抗していますが、I社のサッシは断熱性能に加えて、一番室内側のガラスに合わせガラス(実質的に4枚ガラス)を配した防犯合わせガラス仕様で、防犯性能にも優れています。

 

 

そのほかの建物構造上の大きな違いとして、I社とU社は床断熱を採用し、Y社は基礎断熱を採用している点です。これにより気密施工の面ではY社が有利です。

 

 

公表されている断熱性能(Q値またはUA値)と気密性能(C値)を見ても、

 

I社はQ値:0.51、C値:0.59と断熱性能がずば抜けて高く、気密性も高いレベルにあります。

 

U社はUA値:0.31と十分な断熱性能を有し(Q値に換算すると概ね1.1前後でしょうか?)、C値は未公表ですが、工法を考えると一定の気密性は確保されていると思われます。

 

Y社はQ値が1.16と断熱性ではI社と比較すると劣りますが(それでも十分に高断熱です・・・)、C値については実測で0.26の実績があります。基礎断熱を採用していることもあり、かなり高いレベルの気密性能が期待できます。

 

まとめると、

 

 断熱性能は

  ウンノハウス ≦? 吉成建築 < 一条工務店

 

 気密性能は

  ウンノハウス? < 一条工務店 < 吉成建築

 

となります。

 

 

換気システム

3社とも熱交換型第一種換気システムを採用していますが、方式は3社3様です。

 

I社はロスガード90と呼ばれる熱交換率90%のダクト式の換気システムが標準仕様です。

家中の換気を一カ所で集中管理し、毎時0.5回転の換気を確保しつつも、換気による冷暖房の熱損失を最小限に抑えられます。屋外からのチリや花粉、昆虫なども本体内蔵のフィルターでシャットアウトするので、室内の空気を常にクリーンに保ってくれます。

 福島では「放射性物質の侵入も防ぐ」旨の説明もありましたが、現在周辺に存在している放射性セシウムは鉱物等に付着している物がほとんどなので、風等で舞い上がった砂埃の侵入を防ぐフィルターがあれば、同時に放射性物質の侵入を防ぐのは当然の事で、この点に関しては、放射性物質の知識が無い人向けに上手くセールスに利用しているのかも知れません。

 

話が逸れてしまいましたが、ロスガード90は外壁に面した場所に本体を設置する必要があり、その際に0.5畳分の床面積を占有するので、その意味で建築費用の中に機器代のほか、0.5畳分(坪単価の1/4)が費用として掛かると考えておく必要があります。

 

Y社もダクト式の熱交換型第一種換気を採用しますが、システムはリクシル製のエコエア85になります。(熱交換率が5%高いエコエア90もありますが、コストとメンテナンスの面から85がベターとの説明でした。)こちらも換気を一カ所で集中管理しますが、本体の設置場所は天井裏になり、必ずしも外壁に面している必要はありません。

設置場所としては床面戦績を占有しないメリットがありますが、その反面フィルターの清掃、交換の際には脚立等を準備して天井点検口を開けて作業する必要があり、歳をとってからは難しいと感じました。

 

U社は他の2社と異なり、ダクトレスの熱交換型第一種換気システムを採用しています。各部屋に配置した換気口にセラミックの蓄熱体を内蔵したファンユニットを設置し、一定時間(約70秒毎)でファンの正転、逆転を繰り返して換気を行うことで、給気と排気・蓄熱と放熱を交互に行い、外気との熱交換(熱交換率92%)と、湿度交換を行うシステムです。

 

ダクトレス熱交換換気の特徴は、ダクト式に比べて機械も小型で、なおかつ天井裏等にダクトを通す必要が無いため、施工費が安価なこと、メンテナンスや将来的なリフォームの際のコストも抑えられることが挙げられます。その反面、換気の際の空気の流れが交互であるため、床面積の大きい平屋などでは建物中央の換気効率に疑問が残るのと、複数台の適切な制御と個々の換気量のバラツキにより、給排気のバランスが崩れ、屋内が正圧または負圧になる懸念があります。それから、フィルターの汚れはどうなるの?って疑問もあります。

 

このシステムだと基本的に偶数で運転することになると思いますが、何故か?ウンノハウスの初期プランでは奇数配置になっており、まさに上記の疑問(給気排気がアンバランスになるのでは?)があり、質問しましたが、それに対する明確な回答はありませんでした。

 

以上、換気システムの比較では、それぞれ一長一短があります。ダクトレスの熱交換換気は換気効率と運用面で個人的に疑問が払拭されず、ダクト式については本体の設置場所に違いがあり、部屋のスペースを優先するか、メンテナンス性を優先するかが判断材料になります。

適切な換気量を維持するためにはフィルターの清掃、交換を含めたメンテナンスが重要であり、長期的に見てメンテナンスが容易な方にメリットがあるように思いました。

 

よって換気システムでは

 

ウンノハウス < 吉成建築 < 一条工務店

 

となりました。

 

 

住宅設備

I社はトイレを除くキッチン、システムバス、洗面化粧台などの主な設備について自社オリジナル製品を標準採用しています。海外の自社工場で一括生産を行うことでハイグレードな設備を比較的低い原価で供給していることから、オリジナル製品の中で気に入った物があれば、コストパフォーマンスが非常に良いことがメリットとなります。また、システムバスは差額なしで1.25坪が選べ、洗面化粧台やシューズボックスもサイズに関わらず標準内で選べるシステムとなっていますが、これらは建物の大きさが制限要因になるはずなので結局は建築費に直結すると思われます。

 

デメリットとしては、選択肢の幅が狭い(設備の種類が少ない)こと、キッチンを中心に住宅設備メーカーの製品と比較してモデルサイクルが長いことから数年前のものと外観上の変更がないこと(細かい仕様変更・改良は行われています)、標準以外の設備を採用する場合、標準品の原価が低いため、選択する製品にもよりますが差額が大きくなる可能性があること等が挙げられます。

 

U社は標準仕様としてPanasonic、LIXIL、TOTOの製品の中から住宅設備を選択でき、それぞれU社向けに専用型番の製品が設定されています。ある程度製品のバリエーションも豊富にあり、各メーカーの最新設備の中級グレード相当以上の製品が採用されています。

設備に拘りがあり、どうしても標準仕様以外の製品や、他メーカーの製品を採用したい場合には対応してもらえますが、製品に応じた差額が必要になります。

 

Y社の住宅設備はLIXILの製品を基本としています。見積もりは標準的な仕様で出されていますが、LIXIL製品であればハイグレードな製品を採用する場合でも仕入れの関係で差額を抑えられるとのことでした。

もちろん希望があれば他社製品も採用できるほか、造作も得意なので、キッチンや洗面台等については施主の好みに合わせてオンリーワンの設備を制作することも可能です。

 

以上、住宅設備はU社が標準仕様の中での選択の幅が最も広いです。

 

よって、設備の自由度では

 

一条工務店 < ウンノハウス < 吉成建築

 

となりますが、どこを選んでも標準仕様内で十分な機能を備えています。

3社とも標準以外の設備も選択できますが、その際には差額が生じ、その大小は採用する設備などケースによります。

造作は施主側のセンスも求められ、入居後の使用スタイルも独自になることから、そこまで想定して作るのは我が家にはハードルが高いかな?と感じました。

 

 

外観、外装

外観はシンプル・モダンを希望したので、外観デザインでは3社とも対応が可能です。

可能な限りメンテナンス費用を抑えた素材を希望しました。

 

I社のi-smartは外壁材としてボーダータイルが標準であり、それだけでも長期的に見て壁の塗り替えが不要であることからメンテナンス費用が抑えられます。更に、ほとんどの施主さんが採用しているハイドロテクトタイルがオプションとして見積もりに反映されており、そのセルフクリーニング性により長期に亘り外観をキレイに保つ事が期待できます。

 

屋根は日当たりの関係から太陽光発電を採用しない方針なので、標準で採用できるのは3.5寸勾配のスレート、ガルバリウムのフラットルーフ、パラペットルーフ(FRPの陸屋根)の3択になり、意外に選択肢が少ないです。

 

i-smartは外壁のハイドロテクトタイルが特徴的で、5色のうち2色までが選択可能なのです。屋根のバリエーションの少なさと合わせて外観からすぐにi-smartだと判ります。これをデメリットと感じるかどうかは個人によって違うでしょう。

 

 

U社の外壁材は窯業系サイディングが標準ですが、希望によりガルバリウム鋼板やタイルの外壁にも変更出来ます。将来的にメンテナンス費用が抑えられるタイル外壁に変更するには数十万~100万円程度のオプション費用が掛かります。

 

屋根の形状は寄棟、切妻、片流れなど、自由に設計することが出来ます。屋根材はスレートが標準で、瓦やガルバリウム鋼板にも対応が可能ですが、使用するものによりオプション費用が掛かります。

 

Y社は屋根の形状、外壁材、屋根材ともに希望に応じて対応が可能です。デザイナーズ住宅的な設計施工もセールスポイントとしており、HPの施工実例を見ても外観、材質ともにバリエーションが豊かで、オンリーワンの住宅が並んでいます。

 

概算見積もりではベーシックに外壁材が窯業系サイディング、屋根材がガルバリウム鋼板となっていましたが、外壁材はガルバリウムや塗り壁、タイル、更にはそれらの組み合わせも可能で、屋根材もスレートや瓦も可能です。

外壁をタイルに変更するには60万円程度の追加費用が掛かるとの事でした。

 

 

内装ではI社のi-smartはスリットスライダーという象徴的な建具はあるものの、それ以外の建具についてはデザインが単一になります。6色から選択はできますが、部屋ごとではなく、平屋の場合は建物内が全て同じ建具色で統一となります。

床材についても選択できるのはi-smart標準のEBコートフローリングのほか、i-cube標準の高耐久フローリングの2種類で、それぞれ5色、4色から選べるだけとなっています。床材については設定外のオプションとして社外品を採用することも可能です。

 

U社は建具、床材ともにPanasonic、LIXIL、WOODONEなどのメーカーから選択することができます。標準設定されている製品も豊富で、床材は表面に無垢材を使用したものなど好みのテイストに合った内装に仕上げることができます。もちろん標準設定以外でも各社の製品を採用可能です。

 

Y社は建具、床材ともにLIXIL製を標準としており、床材は無垢材を標準採用しています。LIXIL製だけでもバリエーションが豊かですが、それ以外のメーカーについても要望に応じて採用可能となっています。

 

以上、内外装についても、自由度で比較すれば

 

一条工務店 < ウンノハウス < 吉成建築

 

となりますが、

 

外装に関しては、I社のi-smartでは標準仕様がタイル張りとなっており、更にオプションでセルフクリーニング性をもったハイドロテクトタイルを選択できることからアドバンテージがあります。

 

 

 

空調設備

I社のi-シリーズでは大きなセールスポイントの一つとなっているヒートポンプ式の全館床暖房が標準仕様となっています。文字通り“全館”であり、各部屋はもとより、トイレや浴室の洗い場にまで床暖房が入ります。住まいの体験会で体感したように冬場の快適性は抜群なうえ、前述した高い断熱性・気密性によって、実用的なランニングコストでの運用が可能です。

床暖房とヒートポンプを共有するRAYエアコンも標準で装備されており、間取り・配置次第で、このエアコン1台での全館冷房も可能です。

 

また、棟数限定オプション(商談当時)である「さらぽか空調」では、換気システムに高性能なデシカント式除湿・調湿機能を付加したうえで床暖房の配管を冷房にも使用する事により、エアコン冷房とは一線を画す快適な空調が可能となります。

 

U社は高性能エアコン1台での全室冷暖房を行う提案で、エアコン設置費用は建物本体とは別に計上されていました。

3グレードある建物仕様のうち、ベーシックなグレードの建物でもエアコン1台で全室冷暖房が可能であり、ダブル断熱の仕様ではより省エネで快適な生活ができるとの事でした。

 

Y社の空調も高性能エアコン1台で全室冷暖房を行う提案で、こちらもエアコン設置費用は建物本体と別計上でした。

また、建物が基礎断熱であることから、オプションでヒートポンプ式の床下放熱による暖房も選択可能です。床下の数カ所に放熱器を配置し、高温のお湯を循環させて床下を暖め、床からの輻射熱と合わせて、窓際などの床面に開口を設け、暖気の上昇によりコールドドラフトを抑えるとともに対流による室内の暖房を行うシステムです。

 

以上、空調に関して、特に冬場の快適性で比較すると

 

ウンノハウス < 吉成建築 < 一条工務店

 

となります。

 

 

シロアリ対策

I社は1階の主な構造部材に加圧注入式による防蟻処理を行っており、その効果は70年とも言われています。基礎の配管貫通部や断熱材にも防蟻処理が施されます。

 

U社とY社は基礎周りの土壌への薬剤注入と、通気工法により基礎や外壁内に湿気を溜めないことでシロアリを防除する考え方です。

 

 

下水道計画

建築地は現況で母屋より地盤が低いため、そのままでは接道する南側の下水道に接続する事が出来ません。

Y社の提案は、下水の勾配が取れるよう母屋と同等の地盤高まで土盛りをして、そのまま下水道に接続する計画で、見積もりにも造成にかかる概算費用が計上されていました。

U社の提案はポンプアップして下水道に接続する方法、あるいは西側の更に一段低い隣地(他人名義)に敷設してある隣家の下水道経路に同意を得たうえで接続させてもらう方法のいずれかでした。

I社は上記3つの方法いずれも可能ですが、契約後に設計士と詳細な打ち合わせを進める中で決定してゆくとのこと。見積もり上は南側に接続する場合の配管延長で積算していますが、高さ関係は無視している形でした。

 

 

 

以上、3社の性能、仕様の比較です。

 

これを踏まえて最終的にどのハウスビルダーで建てるのか検討に入りました。