新花「幸ぎく」

　これまでも何度も書いていること。金沢では新しい芸妓さんを新花（しんばな）と呼ぶ。その新花さんには名前の書かれた団扇（うちわ）が作られる。

完成品はこんな感じになる。去年の秋にデビューした「凛」ちゃんのうちわ。これも私が書いた。

　その文字は、時の金沢市長が書く。前市長から始まったことなので、伝統とまで言えるかどうかはともかく、私はきちんと受け継いでいる。

　まもなく、にし茶屋から「幸（こ）ぎく」ちゃんが新花としてお座敷に出る。

　もとより集中力のない私は二日にかけて練習する。もっともっとたくさん書いたのだが、この中から選んでもらうことに。どの字体が選ばれてどんなものになるか楽しみだ。ちなみに、「にし」は、私のほうでこれが良いのではないかと伝える。

　「幸ぎく」はどれになるのか。いずれも、今の私で精いっぱい気持ちを込めて書き上げる。