ぶどうの国の大滝不動尊&宮光園 | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

甲斐路の二日間の旅の最終編です。塩山から勝沼へ、魅惑のラインをたどります。

甘草屋敷と大滝不動尊と宮光園へ行ってみよう!

 

大滝不動尊雄滝は驚異的秘瀑だった!

 

【2024年7月3日(水)】 気温34℃

 

まず向嶽寺を訪ねた。過去にも行ったかどうかあやふやなスポットは、今回全部ちゃんと回ることにした。駐車場の隣りはぶどう畑だった。今回は実にたくさんのぶどうを見た。季節的には少し早いから、こんな収穫前の壮観が見れたことになる。袋かけ・傘かけにもいろいろあるのだな。

 

向嶽寺の山号はズバリ塩山だ。創建は南北朝時代に遡り、いろんな歴史を抱えているが、伽藍はほぼ非公開となっている。放生池を眺めて。

拝観不可の諸堂を見上げる。仕方ないので、ここはこれまでとする。誰にも会わなかった。

 

塩山駅近くまで移動して、初めて甘草(かんぞう)屋敷を見学していく。突上げ式屋根だ、上条集落の「もしもしの家」と同じ。

甘草から何ができるかというと、芍薬甘草湯ばかりではない。のど飴・羊かん・入浴剤まで。

 

ここは旧高野家住宅で、江戸時代に甘草の栽培を行って幕府にも納めていた。八代将軍の時に幕府御用達を言い渡されて、年貢も免除されたとのこと。

養蚕の道具もいろいろある。ボランティアガイドがいろいろ説明してくれた。

 

二階から前庭を眺める。そこに今もカンゾウが栽培されている。甘草屋敷がこういうものだということを、初めて知った。庭の向こうに見えているのは塩山駅北口。「あそこにある武田信玄の像は京都の方角を向いてるんですよ。信玄は京都への憧れが強かったそうです。」

 

屋根を葺き替える前はこんな姿だった。

 

東門の前の通りを少し北へ行くと、丸石道祖神がわんさか盛られている。

一口に道祖神と言っても、地方によってぜんぜん違うのである。伊豆には伊豆型、信州には双体道祖神、群馬も独特だし。

 

甘草屋敷を後にして、大滝山・棚横手の中腹にある大滝不動尊をめざした。途中の展望デッキから、塩ノ山と塩山・勝沼の町。

 

まず大滝不動尊前宮に参拝していく。ここから奥宮までは狭い道を延々と走っていく。落石もあるし、工事箇所もあって気が抜けない。

 

やっと奥宮に到着しました。石段下の案内板を見ると、滝や諸堂がいろいろあるらしい。あまり予備知識を持たずに行ってみます。

 

目の前に仁王門がでんと構えている。ここはすでにかなり深い山中の趣がある。

 

だが、中にいたのは仁王門に相応しくない異形の仁王像だった。

なぜこういうことになったのだろうか。

 

仁王門の先には長~い石段が続いていた。右手にはさっそく前滝が登場した。これはすごいな、と思ったがそんなのは序の口だった。

 

休み休み登っていくと、視界をふさぐのは巨大な寺務所・客殿(?)だった。もちろん人はいない。しかし、本堂の後ろのあれは何だ!

あれはいったい、何ですか。そんな話は聞いてなかった。これほどの滝が落ちているなんて。これが雄滝と称する滝であった。

 

落差100mは越えてるなと思ったら、140mあるという。しかも通常はこんなに水量がなくて、黒ぐろとしている。一昨日までの大雨がもたらしてくれた景観=プレゼントだった。この二日間で最大の衝撃だった。やっぱり自然の力は、何よりでかい。

古人も幾度となくこのような景観と対峙して、畏敬の念に打たれたことだろう。

 

境内には丸彫り石造物がいろいろ。

どうやらこれは摩利支天のようである。

 

本堂右手の山道を登っていくと、急斜面に文殊堂と天狗堂がある。途中から一瞬雄滝が遠望できた。

 

天狗堂の近くにあったのは、雨降地蔵というらしい。

 

急崖地に架けられた桟橋を渡る。

すると岩壁から髪洗滝が落下、というより降っていた。

壮大なシャワーです。

 

未練がましく、雄滝の下まで登れないかと岩場を伝ってみた。しかし滑りやすく、沢歩きの領域なのですぐに引き返した。

大滝不動尊は大雨後が絶対的旬であるが、林道通行の安全は保証できませんので。

 

さあて次は勝沼のワイン文化遺産です。途中で農園の直売所に立ち寄った。もも3個入り千五百圓也とぶどうを少々買い求めていく。

 

そしていよいよ宮光園までやってきました。宮光園は指定文化財であり、日本遺産でもある。日本のワイン造りは、明治初頭この地に始まった。そもそも今回の旅の最大の目的地はここだったのです。

先般、茨城県の牛久シャトーを訪ねた時にこんなパンフレットを入手した。牛久市と共に甲州市の名が列記してある。(牛久シャトーを訪ねたのは赤煉瓦建築だからで、それは深谷商業銀行赤レンガ倉庫で知った)

牛久の創設者が右の神谷傳兵衛で、甲州の宮光園は左の宮崎光太郎だ。こういう二大勢力があって、日本のワイン文化が醸成されていった。だから宮光園を見たかったのです。

 

一人200円を払って入場します。(シャトー・メルシャン共用の大駐車場あり)

 

外観はこのような感じ。牛久シャトーの圧倒的近代建築に比べると、ずいぶん小ぶりである。明治10年の草創期を経て、明治25年に設立された。元々は山梨県令藤村紫朗の殖産興業政策の一環でもあった。

 

二階に上がって、汗をぬぐいながら展示を見ていきます。

 

最近ほとんどワインは飲んでない。しかしこのラベルと商標、ビンの色の深みはいい。

甲斐産だからKAISANと書いてあるのかと思ったら、甲斐産商店というのが前身だったということ。

 

甲斐産商店は大黒葡萄酒となり、大黒天がトレードマークになった。

大黒天とは縁起が良い。

 

各種蒸溜帳。何が書いてあるのか。

 

宮内省御用達の見事な垂れ幕であります。

 

レトロ建築の面影も残している。

 

蔵もあります。

 

最後に20分の記録映像を見ていった。明治期の様子が解る、興味深いものだった。

 

続けて道の向かいにあるメルシャンワイン資料館へ入ってみる。樽とか製造設備とか、ワイン製造全般について展示してあった。

 

地下のワインセラー。今回は勝沼トンネル・ワインカーブも行く予定だったが、暑さに根負けした。この辺が締めとして、ちょうどよろしいようで。

 

宮光園をきっちりと見学できてよかったです。

 

今回は石仏・養蚕農家・幻の大滝・ワイン文化遺産、

と甲州王国をたっぷり楽しませてもらいました。

🍷