南信の高鳥谷山と陣馬形山 | 降っても晴れても

降っても晴れても

山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

早くも三月下旬となって、関東甲信より遠くへの遠征もままならず。一ヶ月ぶりに伊那谷を訪れた。しかし天気がいいのは金曜日だけ、貴重な一日です。

 

高鳥谷山山頂から、中央アルプスの大々展望!

本日のGPS軌跡ーその1

電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。(令和元年手続改正により申請適用外)

注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。

 

【2024年3月22日(金)】 高鳥谷山

登山口駐車場7:30~高鳥谷神社7:40~高鳥谷山8:43-56~登山口9:45

 

早朝の中央道を走っていくと、甲斐駒のモルゲンロートに出会った。岡谷JCTから回り込んで、大きな伊那谷へ入っていきます。

 

高鳥谷山(たかずやさん)は伊那市と駒ヶ根市の境界にあって、駒ヶ根市側の高鳥谷神社登山口がメジャーコースとなる。標高は1331mで、尾根続きの戸倉山(伊那富士)は1681m。だから一番お手頃で時間もかからない、その代わりに午後の部をもう一本登らないと割に合わない山だ。

駐車場からまず鳥居をくぐっていく。気温は-6℃で、けっこう寒い。

 

参道を10分ほどで高鳥谷神社に着いた。小堂には虚空蔵菩薩がおられた。どんな特徴があるのか、汚れた布をめくってみたい気がした。

立派な社殿です。この横から登山道に入っていく。

 

13分ほど登ると林道を横切って雪も少し出てきた。先発していった地元の奥方が「上のほうはアイゼンとかないとヤバいです」と言ってた。しょっちゅう登っているらしい。

大岩が出てくると、御嶽信仰の石碑もあった。

 

トレースは冷え込みのせいで固く締まっていた。じきにアイゼンの出番となった。

山頂までの標高差は440mで一途な登り。小気味よい登りが続く。

 

1時間と10分ほどで山頂に到着です。まあまあ雪が踏めて短時間で、この展望はお買い得ですね。後ろの木曽駒と同じ高さにいるみたい。

今まで知らなかったが、「信州ふるさとの見える(丘)」というビューポイントが認定されているらしい。ここは404号だが、そんなにたくさんあるわけではなくて70箇所弱のようだ。わかりやすいナンバリングにして下さい。

 

山頂には石碑も並んでいて、雪山の展望とマッチしてます。

 

高鳥谷神社の奥宮、といったところか。巨大な石祠が建っている。

相当手の込んだ立派なものです。どうやって運んできたのか。

 

それでは、中ア劇場へ。

 

木曽駒・宝剣から空木岳に続く稜線。今日はさぞかし寒くて気持ちいいだろう。

 

そして南駒ヶ岳・仙涯嶺から奥念丈岳へ。雲のかけらもなし。

 

では下山して、次の山に向かいます。

麓の集落は東伊那で、先月訪れた駒ヶ根シルクミュージアムもここにある。蚕話に興味を持ったついでに、今日はいくつかの蚕神石仏を訪ねていくことにした。

 

まず尾根筋一つ乗り越えて、中沢字大曾倉の諏訪神社へ。こちらは「こだま(蚕玉)様」で、別名が保食神(うけもちのかみ)。保食神は五穀豊穣を司るが、養蚕との関わりもある。

桑の葉を持って、目を細めて天を仰いでいるようだ。

社前の隣りには十王堂がある。曇りガラス越しにやっと見える。奪衣婆を含めて11体と、上には地蔵菩薩坐像。

近くの辻にも石仏群がある。庚申塔・寒念仏供養塔などなど。

 

次は、中沢字菅沼の福岡社へ。境内の片隅に、ひときわ白く存在感あるものが。

これが「こだま様」で馬鳴菩薩の形をとっているという。馬に乗っているようには見えないが。そう言われてみないとわからない。

 

次は陣馬形山に登るので、中川村までドライブしていく。途中の大草字北組の上宮外縣神社。こちらは祠のみ。この集落にいるという馬鳴菩薩像のこだま様は見つからなかった。

代わりに妖艶な馬頭観音がいた。

 

次は陣馬形山。中川村は飯島町と大鹿村にはさまれた位置にある。高鳥谷山に勝るとも劣らない超展望の山である。本日のGPS軌跡ーその2。

 

【2024年3月22日(金)】  陣馬形山

登山者駐車場11:45~990m中間林道12:40-45~陣馬形山14:15-30~中間林道15:30~駐車場16:17

 

いつかついでの時に登ろうと思っていたが、やっとその機会がやってきた。夏は車で山頂のキャンプ場まで上がれてしまうが、今は麓の登山者用駐車場から歩きです。行程半ばまでは、のどかな山村風景の中をゆく。

車用の案内標識も完備。

 

ここは中川村大草字美里。飯田市の下栗の里は日本のチロルと呼ばれるが、ここもそれに準じるような風情がある。

 

何度も車道を横切って、次第に登山道がメインになっていく。もう午後だけど、一応アイゼンは担いできた。

990mの中間林道を過ぎて、やっと雪が増えてきた。しかし傾斜は緩くてなかなか進んでる気がしない。高鳥谷山のように一気に登るほうが気持ちいい。

 

丸尾のブナが現れた。ブナの木を諏訪大社の分社として、薙鎌を祀ったという。

山の中でこれほどのブナの大樹を、たくさんの支柱で守っているのはすごい。諏訪大社ならではだ。

 

雪が一挙に増えてきました。

やっと山頂平原に飛び出した。霧ヶ峰みたいな所だ。

 

思ったよりも時間がかかりました。頭の右に宝剣岳がちょこんと見える。思った通り、午後の光で霞んできた。

中ア南部をバックに。

 

回れ右すれば、南アルプスが風格を見せつける。ここが高鳥谷山とは違うところだ。

 

一番左には仙丈ヶ岳。

 

北岳・中白根・間ノ岳。

 

塩見岳。

 

さらになかなかお目にかかれない、荒川三山と赤石岳まで。

 

千畳敷カールをよく見ると、ホテル千畳敷が見えているようだ。そうだあれで見てみよう。

山頂には観光地型の望遠鏡が設置されているのです。見えた見えた、ホテルも鉄塔も。

 

これはどっち側だったか。南アですね。

 

やっぱりここには夏にも車で上って、キャンプをしよう。伊那盆地の夜景と星空だ。

 

下山は一気です。駐車場の前には馬頭観音とヘビ神。ヘビは弁財天か、はたまたこだま様の化身だろうか。

 

明日は雪から大雨なので、それなりに考えることにします。

つづく