右、かまくら道(終着点まで) | 降っても晴れても

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山に登ったり走ったり、東へ西へ・・・

旧鎌倉街道山ノ道から上道を歩く旅も最終日となりました。終着点は鎌倉、鶴岡八幡宮です。

新町・藤岡より160kmあまりの旅路、ようやくゴールが見えてきた。

 

鎌倉七口の内、化粧(けわい)坂を越えていく

 

【2024年1月16日】 いずみ中央駅~化粧坂~鶴岡八幡宮 19.0km

 

家で3時40分に起きて、始発電車で前回の中継駅へ向かった。今日はゴールだ、という確信を持って7時15分に歩き始めた。ここは横浜市泉区役所の界隈である。境川のわずかに東側の道を南下していく。県道よりも細い道なのに、出勤の車がひっきりなしに走っている。相変わらずまともな歩道もないのでうんざりする。

たまには土蔵とか堅牢な門も見られた。

 

相鉄いずみ野線ゆめが丘駅周辺、こんな歩道らしきものが現れてもヤブこぎとなる。

 

相鉄線をくぐっていく。こういう現代的風景も、変貌した街道らしくていい。

くぐった先には富士塚公園があったが、見えるのは田んぼと高架線路ばかりだった。

 

若干車も減ってきて、緑に鎌倉の風を感じると言ったら言い過ぎか。今日は体も軽くて、足取りも順調だ。

 

やがて右手は、広大な境川遊水地公園となる。丹沢の大山あたりが望まれた。丹沢にも相当久しく登ってない。

 

遊水地公園の先で少し道を間違えて、そのまま行って修正して戻った地点。三叉路に庚申塔が3基並んでいた。右の風化したのは弘化3年だった。このへんで戸塚区に入る。

 

県道403に出てローソン休憩して、その東でまた県道と分かれて南下する。そこにも庚申塔2基。旧鎌倉街道をずっとたどってきて、今日は石仏が豊かになってきたようだ。

 

こんな街道をゆく。

 

左手奥に龍長院の境内を見て、その先すぐに八坂神社がある。ここで足止めを食らった。多彩な石造物が私を引き留めたのです。南無阿弥陀仏の下に猿が一匹、阿弥陀庚申塔は延宝3年。猿の姿がとてもいい。

文化12年の双体道祖神と五輪塔残欠。その他いろいろあった。

 

境内の狛犬一対、これも古くて愛嬌があって捨てがたい。紙面の都合上、1枚のみです。

 

そんな八坂神社を辞して、少し歩いたら道の左に大鳥居がある。その下の石仏に注目。

右は阿弥陀庚申、真ん中は青面金剛だが。その右側面には、

右へ かまくら道 寛政7年、、、とうとうこれに出逢ったか! この影の美しさよ。

 

振り返るとこんな風景です。この鳥居の下の短い草道こそが、鎌倉時代から綿々と歩かれていた旧道ではないだろうか。ここは戸塚区東俣野町。

 

右手の畑の向こうには長大な長屋門の民家が見えた。

 

道は曲がりくねりながら進んで、国道1号線に出る手前の信号交差点。右角に小屋の屋根が見えたので近寄ってみると、なんと傲骨な石造物が6体。地蔵菩薩と庚申塔。

そして庚申塔と地神塔。とにかくすばらしい。

 

国道1号線をまたぐ。その先しばらくは道順が極端に大きく右往左往する。本当の旧鎌倉街道かあやしいので、マイルートで直線的に行くつもりだった。地図にも線を引いておいたのに間違えて資料通りに進んでしまった。

ファミマの先の並木道からいきなり左折する。大鋸の住宅地へ下る坂道。左へ歩いて行きたい気分だ。マンホールは、なんと横浜ベイブリッジだった。

そのまま行くと藤沢市に入ります。地名は柄沢。こんな住宅風景でも、目の前は旧鎌倉街道だ。住民はそんなことは知らない。

 

その先で左の階段をちょっと登ると、柄澤神社が鎮座している。ここはもう石造物の展示場と化している。豪華絢爛で声も出ない。彫りの深い庚申塔の数々。

狛犬は江戸流れの傑作。

 

社前の右側にもずらりと並んでいる。辯才天だ。

今度は大山不動尊と、二童子を従えた不動明王。

一番右に控えたるは、像容の堅牢地神。大地の守り神である。

左手には鮮花を盛った鉢を持っている。

八坂神社といい柄澤神社といい、めまいがするようだ。

 

神社の東側の道に出て進むと、左手の大きな敷地の隅に大石がいくつか置かれていた。これは三波石ではなかろうか。三波石と言えば旧鎌倉街道を歩き始めて延べ二日目、鬼石の町で大量に産出される庭石と知った。鬼石からここ藤沢市まで、運ばれてきたのか? 夢見るような話だ。

 

さてその先はマイルートで進む。藤ヶ丘中の前から藤沢住宅方面へ。村岡交差点を過ぎて、県道312と東海道本線の複雑立体を越えていく。殺風景な柏尾川に沿って、古館橋を渡る。まっすぐ行けば鎌倉市に入って、湘南モノレールをくぐる。

 

深沢小学校の西側あたり。塞がれたやぐらに出会う。いよいよ鎌倉か。細い水路に沿っていけば、迂回してきた旧街道筋と合流する。

 

梶原二丁目の住宅地を真東へ。そしてS字坂下バス停に着いた。鶴岡八幡宮まであと2.6kmという地点である。ここは右へ、化粧坂を目指していく。

 

いよいよ源氏山への登りになってきた。点在する住宅も鎌倉的。まもなく車道終点となる。

 

道標、よく見て考えないと違う方へ行ってしまいそうだ。

ここです、ここから下向きの矢印が化粧坂なのです。

 

ついについにやってきた、化粧(けわい)坂。千年余りにわたって侵食され、踏みつけられてきた道だ。

滑らないように、そっと下っていきます。

 

思えば5年前、旧鎌倉街道下道を松戸から鎌倉まで走った。最後は朝比奈切通を越えたのだが、あれは感動モノだった。ここにはそれほど大きな崖はないけれど、静かに鎌倉へ入っていく気分である。

 

化粧坂はあっという間に終わってしまい、今度は扇ガ谷の住宅地へと入る。見上げればまだ崖が続いていた。

崖の末端はこんなふうだ。

 

横須賀線のガードをくぐる。

道なりですぐに、岩船地蔵堂。

 

線路沿いの道から横大路に入った。左手に不動茶屋があるが、その奥には巌窟不動尊が見えている。

 

不動茶屋を見つめる青面金剛は年号を二つ抱えているようだ。

五輪塔の数々。とても鎌倉らしい。

巌窟不動尊です。

今どきは茶屋でランチかよ。

 

横大路を東へ抜けると、駅からの小町通りに出会う。そこはもうすごい人の数だった。そこはインバウンドの世界で、飛び交う言葉は意味不明。私は干渉せずに人混みの中を流れていく。

そして、八幡宮前交差点に到着。鶴岡八幡宮までやってきた!

昔みたいに走ってたら、そして距離も数倍あったなら感動も違っていただろう。でも160kmの街道の旅も久しぶりだった。やっぱり、鎌倉をめざすのがいいでしょう!!

 

いざ参拝に。

旧鎌倉街道EXIT

 

終了