塩の道東回り~千国越えの完結編です。
今日は来馬温泉を5時に出発して、埋橋・大峯峠を越えてきた。千国越えもいよいよ大詰めとなりました。
塩の道をゆく、牛の背には塩
おなじみの栂池高原や白馬岩岳をかすめて、古道はつづいていく。
電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成した。(令和元年手続改正により申請適用外)
注:この地形図のスケールは編集されています。距離を参照される場合は元のスケールで確認してください。
【2023年11月4日(土)】 塩の道東回り:来馬温泉~東西追分~白馬駅
来馬温泉5:00~埋橋6:25-40~堂田橋7:43-53~大峯峠8:30~宮本橋西詰・東西追分10:00~鐘馗線刻像10:30~源長寺11:10~千国番所跡11:25~前山百体観音12:10-15~風切地蔵12:45~切久保庚申塚13:20~白馬駅14:10 行動時間:9時間10分/30.5km
千国の山村集落を抜けていくと、道は小谷中学校の裏手へと降りてくる。子どもたちは皆、塩の道のそばで学んでいくのだ。
そしてすぐ右手に源長寺がある。門前に三十三番観音がずらりと並んでいた。塩の道を、そして旅人を見守るかのように。めったに来ない旅人が来たな、と思っているだろう。
信州の石仏はどれもこれも素朴で味わいがある。
千国諏訪社をすり抜けて県道に出た。617m標高点で道は右へ直角に曲がる。すると右手の住宅に塩の道のレリーフがあった。これはどういう理由で作られて設置されたのだろう。姫街道なんかにもこの手のものは見られる。
一旦左の旧道に入って、また県道に出た所に石仏群。
奉納した方々の屋号が六つ彫ってあるのが面白い。
その先で今度は沢に下って橋を渡る。目の前には親坂石仏群が現れる。
馬頭観音たちが、半ば草に埋もれている。あれだけ牛の世話になりながら、馬頭観音なのだろうか。
この親坂を登っていくわけだが、これが今回ほぼ最後の登りだ。二日間でニ千メートル以上も登ってきたわけで、これは尋常なトレッキングコースではない。
昔の行商人は仕事として歩いたわけで、楽しむ要素なんてあっただろうか。
坂道途中の大岩は錦岩という。
親坂を登りきったら庚申塔などが迎えてくれた。実に石仏の密度が高い。
牛方宿はすぐそこ。ここはもう観光地化されていて、車が何台も停まっている。隣りには古民家レストランもあるし。記憶よりもだいぶ大きい。あやふやな記憶だ。
今日は中を覗いていく余裕はないのです。
牛方宿と塩蔵を振り返る。ここから栂池高原までは平坦な旧道が続いている。
進んでいくと栂池高原の建物が見えてきた。いろんな目的で、何度もやってきた場所だ。夜行バスを降りると、目の前が塩の道の入り口になっている。
いよいよやってきました。前山百体観音。西国・坂東・秩父の百観音霊場写し。壮観です。
高遠石工の作といわれる。なるほど、と納得するものがある。高遠石工の作品は上品で気品がある。日本各地に出稼ぎしたことでも知られる。
塩の道というのは、ずっとこんな風景の連なりのような気がする。長い長い絵巻物のような。でもそれはオールシーズンではなくて、やっぱり夏と冬は難しいでしょう。
もう少し写真を。
すぐ先が栂池高原のメインストリート。しかしここで左折です。長野駅行の高速バスはこの奥からも出ているが、今日はその誘惑には負けない。
これより先は道順が分かりづらい所が多々ある。なんでそこに道標ないんだろうという。小谷村と白馬村の境界は県道の橋で越えた。今日はアルプスのほうだけ雲が多くて見えない。これはとても残念だった。
今度は大黒天と道祖神だ。
大黒天は安曇野で山盛り見た。愛着の湧く姿である。
落倉自然園入口にトイレがあって、振り向くと石仏群。なんとも言えぬ佇まい。
おかしみのある如意輪観音。
深みのある文字庚申塔たち。
切久保の集落に入っていくと左手に諏訪神社がある。石橋を歩いて渡る。
三叉路に切久保庚申塚が見えてきた。たくさん寄せ集められている。
ここにも、なんと見事な大黒天。左はちょっと新しい。
庚申塔、その他たくさん。このセクションはほとんど石仏めぐりといってよい。
次は岩岳新田の石仏群。どれもこれも。
カーブ地点の水路の脇には、またまた巨大な大黒天が!
じっくりと御覧ください。
隣の小堂には木彫仏が祀られていた。
さてその先で国道に放り出されて、もう足はへろへろのよれよれだった。気力でペースだけは落とさずに歩いていくが。後ろでは家内がストレッチしてたりする。
あとわずか旧道を忠実にたどる選択肢もあるが、もう国道をまっすぐ行こう。ラスト2キロが実に長く感じられた。もう平らだし、道しるべを探す必要もないのに。
そしてとうとうやってきた、白馬駅。我々が決めた、自分たちのゴールへ。
塩の道東回り、終わりました。
取り急ぎストレッチをして余り物を食べて、40分後には高速バスに乗り込んだ。短いうたたねの後、長野駅から新幹線の人となったのでした。無事に終わって、ほんとうによかった。
完