蓮華温泉から五輪尾根を登って朝日岳までやってきた、その続きです。
今日は展望とお花畑を満喫しながら、白馬岳まで縦走していきます。夏全開で。
雪倉岳から白馬岳と旭岳を望む
【2019年8月11日】
朝日岳幕営地4:30~小桜ヶ原分岐5:55~燕岩水場6:45-7:00~雪倉岳8:50-9:05~鉱山道分岐10:30-40~三国境11:30-40~白馬岳12:22-35~村営頂上宿舎幕営地13:00
アルプスの稜線の朝は早立ちが気持ちいい。晴れていればなおさらのこと。
朝日小屋と朝日岳のシルエットが美しかった。今日もお天気には何の心配もなさそうだし。
気がかりなことと言えば、白馬のテント場の混み具合くらいかな。想像を絶するかもしれない。
ライトを点けたままで歩きだすと、すぐに白馬岳と旭岳が見えてきた。
旭岳は清水(しょうず)尾根上部の、登山道からそれた位置に聳える山だ。
少し時間が経つと、清水岳に朝日が当たり始めた。
まず水平道をたどって、朝日岳の南山腹を巻いていく。水平とはいってもかなりのアップダウンがあるのだ。しょっぱなから今日の目的地が見えているというのも、展望の良いアルプスならではだ。
水平道には木道が整備されていて、ほとんど朝露にも濡れずにすんだ。
ツボスミレ、一輪。
イワイチョウ
毛勝三山もモルゲンロートの世界になった。この山々だけはまだ登ったことがない。
どうやったら登れるのか、今度調べてみよう。とても気になる。
残雪、池塘、木道・・・に太陽がやってきた。
こういう感じのコバイケイソウも私は好きだ。
木道が続いていく。
チングルマもいろんな表情を見せてくれる。
小桜ヶ原の分岐を過ぎて、さらにどんどん巻いていく。小沢の水場を2本過ぎてしばらくで、燕岩が現れた。高度差は100mくらい。衝立岩のようでもあるし、滝谷ドームのようにも見える。
いかんせん、この場所では。
燕岩の先の水場(最低コルにある)はチョロチョロで、溜り水をカップで汲むしかなかった。手前の小沢のほうがいいようだ。ミヤマダイモンジソウ。
いよいよ雪倉岳への登りにかかった。頂上まで、およそ600mの登りは大きい。
東の方角には北信の山々が重畳と連なっている。いつもどこかでこういう風景を見せて、気を惹きつけるのだ。
調子は今ひとつといったところで、経験的に身につけたゆっくり登りで体力を温存した。
昔は疲労とは縁遠かったのだが。
立ち止まって振り向けば、昨日越えてきた朝日岳と、今日巻いてきた赤男山が並んでいた。
長い登りをペース調整で乗り切って、雪倉岳の頂上に着いた。
なぜか石材に山頂名が刻まれていた。今日の大きな仕事の一つをやり終えた感じがする。学生時代から先輩が「雪倉の登りはなあ、」と言っていたのを覚えている。(でかくてしんどいという意味で)
先へと進みます。疲れたとか言っても始まらないし。
雪倉避難小屋を過ぎて、雪倉岳を振り返る。このへんからは高校生5人くらいと熱血教師と前後しつつ登った。高校生は元気だ。
陽気なシナノキンバイ。
私の後ろで家内は写真を撮りまくり。
いつ見てものびやかで、雄大な風景だ。真ん中に旭岳。
イワギキョウ
やがて鉱山道分岐を過ぎて、ハート型の池を見つけた。
三国境への登りは、いつもとても苦しいところ。今日もそれなりに。
しかし今日は風も穏やかで、暑すぎる!
かくして三国境も越えた。白馬大池からの登山者が合流するので、にぎやかになってきた。
山頂近し、の風景。
いよいよ足元には白馬東面の岩稜が見えてきて、
白馬岳頂上をゲット!
今日もなんとか登れました。当然ながら、すごい数の登山者がいる。
今までたくさんの日々を私に与えてくれた白馬岳です。
清水尾根の旭岳が、すっかり形を変えて姿を見せる。清水尾根をシーズン初めに登った時は、雪渓のトラバースに苦労したものだ。
白馬主稜からガスが湧く。
にぎやかな山頂を後にして、テン場へと下っていった。
まず白馬山荘でバッジを買って、かき氷は売り切れでがっかりしていたらアサギマダラが飛んできた。
最初ズボンに止まって、次に帽子に、最後に手の甲で汗の塩分をなめていた。
懸念されていたテン場は激混みだった。それでもなんとか、ほぼ最後に近い平坦地を見つけてテントを設営した。これで安心して夜を迎えられそうだ。まだ13時だけど、これだ。
その後も続々と、蟻の行列のように登山者がやってきた。もう限界を越えている、傾斜地だろうが岩の上だろうがおかまいなし。これが18時の状況だ。
今日も家内の日課のお山散歩。私はテントでゴロ寝タイムと登山者ウォッチング。
かくして平和な白馬岳の一日が終わりつつあった。
しかし暮れなずむ空には拳を振り上げた怪獣が現れた。すっかり闇に包まれた21時頃、遠雷が頭上にまでやってきて凄まじい雷鳴と稲光に包まれた。
究極の嵐になるのかと思いきや、雨を一滴ももたらさずに雷は去っていったのである。
朝まで穏やかな眠りにつくことができた。まさに「山の日」の奇跡である。幸運に感謝!
つづく