~ 有給休暇残日数0(ゼロ)日での計画年休 ~
「年次有給休暇の計画的付与」 というのがありますが
例えば有給休暇を10日持っていた人が
10日丸々全て自分の好きな時に有給休暇を使用してしまっている状態で
その計画的付与と定めた日を迎えた場合はどうしたら良いでしょうか?
おさらいになりますが、
労働基準法の中に、(労働基準法第39条第5項)
「年次有給休暇の計画的付与」(以下、計画年休) というものがあります。
そもそも 「有給休暇」 とは、社員の方一人一人が
好きなときに取得出来る(会社を休むことが出来る)ものですが
この計画年休というものは、
労使協定を結ぶことを条件(労働基準監督署への届出は不要)として、
個人が持っている有給休暇の日数のうち、
5日を超える部分について
自由に休みを決めることができる仕組みのことです。
さてさて、
今日は計画年休で定められたお休みの日 (^◇^)v
でもAさんには既に残りの有給休暇日数は残っていない (+_+)ガビーン
こんな経験はないでしょうか?
Aさんが元々5日以下の有給休暇しか持っていなかった場合は、
そもそもこの計画年休の対象とならないので問題にならないのですが、
今回のケースは “既に使ってしまっていた” 場合です。
会社全体がお休みなのに、
Aさん一人が出社して仕事になるわけがありません。
そんなわけでAさんは会社を休まざるをえません。
この時、Aさんに対してその日のお給料の扱いは
どうすれば良いでしょうか?
1.有給として処理する。(1日分のお給料を支払う)
2.欠勤扱いとし、無給とする。
3.休業手当(平均賃金の60%)を支払う。
解説に進む前にもうひとつおさらいをしておきます。
この計画年休で定めた休日については
労働者(社員さん)からの時季指定権(*1)は行使できませんし、
合わせて使用者(会社側)からの時季変更権(*2)も行使できません。
(*1)「この日に休みます」と意思表示し会社を休む権利のこと。
(*2)「ちょっとその日は決算の締め日で忙しいから別の日に変更してもらえ
ないかな?」といったような、有給休暇の取得日を変更してもらうことの
出来る権利のこと。
さて、それでは解説に進みます。
対応として望ましいのは
3.休業手当(平均賃金の60%)を支払う
と考えられます。
理由を書く前に再度Aさんの状況を整理しておきます。
Aさんは会社で定められた計画年休があったにも関わらず
自分の好きに手持ちの有給休暇を使用しました。
本来であればその計画年休となる日数は残しておかなくてはならなかった
ハズです。
一見するとAさんが使ってはいけない有給休暇を勝手に使用しており、
Aさんが全面的に悪い印象を受けます。
これにより、 「Aさんに対しては欠勤扱いとするのが当然」 と考えられます
が、ポイントはそこではありません。
そもそも計画年休分というものに対しては
時季指定権も時季期変更権も発生しえないのですから
Aさんの有給休暇残日数が計画年休で必要な日数と同じ日数になった
時点で、 「もう使える(指定できる)有給休暇はありませんよ」 と会社側は
Aさんからの有給休暇申請を却下しなくてはいけなかったのです。
例えば・・・
有給休暇残日数10日、計画年休3日の場合で、
有給休暇を7日使用して、残りの有給休暇日数が3日となったとき。
といった状況です。
つまり、キーとなる日は、
今回の計画年休該当日ではなく、
『Aさんの有給休暇算日数から計画年休の日数を差し引いた日数が0(ゼロ)となった日以後のAさんが最初に有給休暇申請をした日 (「例えば・・・」で言うと、8日目の有給を申請した日)』
となってきます。
得てして
使ってはいけない(指定してはいけない)有給を使用したAさんも悪いけど
それを許可した(認めた)会社側にも非がある。
ということになり、休業手当を支払うのが妥当であると考えられるわけです。
ただこの対応についてはやはりすっきりしない問題が残るのも事実です。
他の社員の方から見れば
自分たちは真面目に有給休暇を使用せずに、計画年休日にまっとうに
消化させてるのに自分の好き勝手に使ったAさんだけ優遇されている。
と違和感を感じるでしょうし、不満は募るばかりです。
このことからも会社側の有給休暇の管理は
大事だということが分かります。
しかしながら日々の就業管理(勤怠管理、出退勤管理etc…)というのは
給与計算処理のために管理されがちというのが現状です。
そして給与計算処理という業務の性質上、
就業管理情報は、1か月の期間をまとめて計算するのが通常であるため、
「日々の有給休暇のリアルタイム管理」 というのは余程意識をしていないと
難しいと言えます。
この事を踏まえ、就業管理に関して
何かしらの仕組み・システムを事前に構築しておく事が
今回のようなケースのトラブルを回避する糸口(予防)になると
思われるのです。