魔界の神として崇め奉られているミルドラースにはたった1つだけ秘密があった。
それは彼がかつて人間であったという事だ。
だが、彼がどのような人間だったのか。そして何故心に闇を抱え魔族へと転落してしまったのか、それは未だ謎のままである。

 

果たしてミルドラースとは何者なのか?

その正体についてはファンの間でも様々な推測がなされている。

当の私は以前書いた記事で「ミルドラースの正体はエルヘブンの民ではないか?」という考察をした。

今回はその真偽と反証をかねて、改めて考えたい。

 

  ミルドラース=エルヘブンの民 説

 
なぜ私がミルドラースの正体がエルヘブンの民だと思ったのか、その根拠を挙げていこう。
まず、ミルドラースという邪悪な存在が生まれる大事件があったにも関わらず、言い伝えではエルヘブンの民と神(マスタードラゴン)しか関与しておらず、特定の地域や国が一切出てこない。

ミルドラースより格下のブオーンが世界中で大暴れしたと言い伝えられていることを思えば、実に不自然である。

 

となると答えは一つ。

事件はエルヘブン内で起きた。

ミルドラースはエルヘブンの民だった。

エルヘブンは神のお膝元の地だからこそマスタードラゴンがすぐに関与して、すぐに対処できた。

こう考えるのが自然であるように思われる。

 

以前の記事で「ミルドラースの予知能力ってエルヘブンの民の特殊能力の一つだったのでは?」と適当に書いたが、(他の人のブログで見て知ったんだが)実際に本編でエルヘブンの偉い人が主人公たちの訪問を予知しているようなシーンがあるらしく(忘れてた)、この事からエルヘブンの民は本当に予知能力を持っていた可能性がある。

 

予知能力といえばミルドラース。そしてエルヘブンの民もまた未来予知ができる。

これらの事からミルドラース=エルヘブンの民であると推察するファンもいるようだ。

だがそうであった場合、1つの可能性が浮上する。

 

  エルヘブンの民に未来が見えていたのなら?


エルヘブンの民には未来予知の力があった。

であれば、ミルドラースが闇堕ちして暴走することも予知できたのではないか?という可能性である。

つまり、ミルドラースが世界中に被害をもたらす前に先手を打つこともできたのではないか。

 

実際この事件には都合よくマスタードラゴンが関わっている。

たかが一人の人間が進化の秘法(と思うが)に手を出したぐらいで、すぐに察知してすっ飛んでくるだろうか?(言ってしまえば4のバルザック程度の話である)
つまり何が言いたいかというと、エルヘブンの民はミルドラースに関する未来、危険性、さらに居場所まで事前にマスタードラゴンに教えていたのではないか、という事である。まあ居場所はマスタードラゴンの全知全能パワーによって特定された可能性もある。全知な訳だし。
だからこそ巧みな連携と協力で、特定の地域や国に被害が出る前に、ミルドラースを魔界に封印することに成功したのだ。

(例えるならドラゴンボールで未来から来たトランクスに人造人間の話を聞かされた悟空たちが被害が出る前にドクター・ゲロの研究所を奇襲して解決したような感じである。伝わったらいいけど。)

 

こう考えると事件にエルヘブンの民とマスタードラゴンしか関わっていない、特定の地域への言及がない、だからミルドラースはエルヘブンの民である、とも言い切れなくなってくるだろう。

 

被害がなくてもどこの地域で起きたとか、そういうエピソードが出てもおかしくないって?それ言ったら、エルヘブンで起きたとも言われてないんだよな。まあその理由は下に書くということで。

 

  ミルドラースはどこの出身者なのか?

 

ではミルドラースはどこの地域の人間だったのか?という謎が出てくるが、人里離れた隠れ家にでも住んでいたのかも知れないし、本編で一切語られていない以上、そこは何とも言えない。

 

ただ、仮に大きな町に住んでいたとしても、地元民からしたらそんな危険な人間が住んでいて、事件を起こしたと広められたら迷惑だろうから、ミルドラースが町の人間だったという記録や痕跡が消されたとしても不思議ではないだろう。

 

なにせマスタードラゴンやエルヘブンの民が介入するほどの大事件なのだ。他の地域の人々からどんな目で見られ、差別されるか分かったものではない。

 

ゆえに地元民によって隠蔽され、忘れ去られ、現代ではミルドラースと特定の地域を結びつける言い伝えが残らなかったとも考えられる。(まるでドラクエ7のレブレサックの話のようだ)

 

  エルヘブンの書物「わが師の意志」はミルドラースと関係があるのか?

 

ちなみにリメイク版のエルヘブンには「わが師の意志」という書物がある。

内容は以下のとおり。

 

わが師は賢者の中の賢者にして 王者の称号をもつ唯一の存在。 

この世に生まれ落ちた現人神なり。

師はあまたの教えを伝えきれぬまま 

災いのチカラをあび 無念の死をとげた。

だが師の意志は絶えず。 

暗き穴の底にて 真の勇者を今も待ちつづけている。

 

これらの文章は封印の洞窟にある「おうじゃのマント」を示すヒントだというのが通説だが、一方ではミルドラースの存在を匂わすもので、ひいてはミルドラースがエルヘブンの民であるという証拠ではないか?とするファンもいる。

確かに賢者の中の賢者という表現や、王者の称号という文面からミルドラースを彷彿とさせるのは否めない。

だが、そう断定するにはいささか腑に落ちない点もある。

 

まず無念の死をとげたというが、ミルドラースは死んでいない。魔界に封印されただけである。

人として死んだという意味で書いたのか?そういう意味なら本人は無念でもないだろう。

封印された事が無念なのであって。

 

災いのチカラをあび、とあるが、魔物になったとは書いていない。

この表現だと、魔物との戦いで災いのチカラをあびて死んだ、という風に読み取れる。

 

暗き穴の底?ミルドラースが居たのは山(エビルマウンテン)の頂。まったくの逆だ。

むしろ魔界の地下にいたエスタークの方が当てはまるだろう。

 

私が思うにこの書物で言及されている賢者は、ミルドラースではない。

闇堕ちしたミルドラースに対抗するために戦ったエルヘブンの大賢者ではないか?

 

この書物の意味するところは

 

著者の師匠である大賢者はミルドラースとの戦いに敗れて死んだ。

そしてミルドラースはマスタードラゴンに魔界に封印された。

大賢者は自らの死、ミルドラースの復活、真の勇者が現れることを予知し、著者に伝えていた。

著者は師匠の意志を継ぎ、ミルドラースを討ち果たしてくれる真の勇者に向けて、封印の洞窟におうじゃのマントを遺した。

 

おそらくこんなところではないか?

 

封印の洞窟に遺した理由は、いたってシンプル。

おうじゃのマントはミルドラースを倒す可能性を秘めた、真の勇者の手に渡らなくてはならない。

であれば、攻略難易度の高いダンジョンに置いておけばいい。

アークデーモンやイーターコンビの猛攻を潜り抜けるだけの力と知恵の持ち主であれば、その可能性は十分だろう。

すなわち、おうじゃのマントを手にする資格があるということだ。