「NAGON」とも表記する、

「なごん」さん(1998〜)という女性アーティストの、

インタビュー記事を読んだ。

 

初めて知った美術作家を褒めたり、

課題を指摘したりするシリーズ。

 

というシリーズ名は、

いま思いつきで付けたのだけど、

それはさておき、

「なごん」さんの作品を観て、

またひとこと言いたくなったので、

その気持ちに従うことにする。

 

彼女はもともと書家。

絵は1年半くらい前から、

描いているとのこと。

 

学習院大在籍時より、

ミスコンに出たりしていたようなので、

野心家なのだろう。

たぶん本名の「東原里夏(りな)」でも活動している。

 

絵は独学。

自分でいろんな作品を観て、

勉強したそうだ。

 

絵を描きたくなったのは、

意味が込められている、

文字を用いないで、

表現してみたくなったから。

 

彼女の良いところは、

作品が堂々としていること。

 

筆づかいにためらいがなくて、

ダイナミックで繊細。

そして揺るぎない。

 

観ていて快感を覚える。

圧倒されるような表現もある。

 

絵はまさに人なりなので、

彼女も堂々とした、

アーティストにふさわしい人なのだろう。

 

絵画的センスも申し分ない。

 

フォルムに関しては、

魅力がなくはないけど、

まだ「彼女ならでは」という域には達していない。

 

片岡鶴太郎さんが今日のブログに、

自身で文字を書いた、

茨城の古河の寺の看板の写真を載せている。

 

「宗教法人 真言宗 醍醐派 金智山大行院」

 

彼ならではの個性的フォルムが極められていて、

素晴らしすぎる、の一語。

 

「なごん」さんも究極のレベルまで、

自分のフォルムを磨き上げてほしいものだ。

 

それと彼女の大きな課題は画面構成。

 

描いた「図」自体は良いけど、

「図」と画面全体との関係の見方が甘いので、

画面の全スペースを有効に使えてなくて、

無駄な箇所が生じているのだ。

 

その役立たずの箇所のせいで、

絵がどうしても痩せ細ってしまい、

実際の絵の大きさより、

小さい印象になってしまっている。

その手の作品が多く見受けられる。

 

名画はかならず大きく見える!

 

独学だと、その関係が、

的確に見れるようになるのは、

むずかしいと思う。

あるいはそうなるまでに、

時間がかかりすぎてしまう。

 

彼女はまだ若いので、

若いうちに誰かに習って、

画家としての「足場」を、

早く固めたほうがいいだろう。

 

そうしないと、

〈世界に羽ばたきたい〉

と彼女は言っているけど、

中途半端にしか夢は叶えられないはず。

 

それから彼女は、

〈自分の"好き”を明確に描いていきたい〉

とも言っているけど、

その心意気は買えるにしても、

ただ好きに描いているだけでは、

「遠く」には行けない。

 

とにかく、まず「足場」だ。

 

そして「憧れの画家」を探すべきだろう。

その師匠から多くを学べば、

どこまでも、あるいは、それなりに、

遠くまで行ける。

 

それなりに、の場合は、

そこでまた新しい師匠との出会いが待っている。

その師匠がその先の行く手を照らしてくれる。

 

 

ま、なんだかんだ言っても、

彼女は可能性に満ちたアーティスト。

書という「武器」もあるし、

将来が楽しみだ。