誕生日だ!
なんて叫ぶこともないけど、
昨日で73年生きたことになり、
今日が74年目の最初の日。
母親の生涯、
71年9ヶ月生きられれば充分、
と思っていた。
ところが67歳になってほどなく、
胃がんの徴候があらわれた。
調べてもらうと、
腫瘍は直径10センチ。
もう終わりだなと思った。
しかしショックなんてなかった。
これが寿命というものなんだな、
とすぐに納得した。
母親とおなじだけ生きられなかったけど、
それも運命。
おとなしく従えばいい。
その後、手術。
肝臓に転移してまた手術。
抗がん剤の副作用に苦しんだけど、
どういうわけか生き延びた。
肝臓がんの手術を終え、
退院したのが3年前の今日。
つまり70歳の誕生日。
70代になってからの僕は、
癌に縁がない。
ほんとうに不思議。
73歳になっても、
することは変わらない。
ブログを書き続けること。
詩の勉強をすること。
絵の描写力を向上させること。
余った時間で、
サンフレッチェ、レジーナ、カープの情報をチェックし、
YouTubeを観る。
これまでとおなじ。
他にしたいことはない。
今日、用があって出かけた。
帰りに自分への誕生日プレゼントを、
何か買おうかとふと思った。
しかし思い直した。
僕はいま、貧しいながらも、
充足した生活を送っている。
何も付け足す必要はない。
高価な食べものも、
無理に食べたいとは思わない。
なので何も買わなかった。
何も買わないのがいちばんのプレゼント。
そう確信して帰途についた。
昨日の「サラヤ」さんに続き、
今日も才能豊かな絵描きを知った。
五嶋伶那(ごしま・りょうな)さん。
2002年生まれ。
男性。
芸大日本画3年生。
彼の個展が、
「Gallery TK2」というギャラリーで開催中(8/14〜25)で、
それにまつわる記事が、
Googleのニュースページに表示されたのだ。
その記事によると、
「昇り龍」という作品が、
ネットで賞賛されているとのこと。
絵のサイズがなぜか書かれてないのだけど、
彼のXにその絵と彼が並んだ写真が載っていて、
それを観ると、
タテ160cm×ヨコ50cmくらいのタテ長の作品。
天に向かう一体の龍が描かれている。
他の絵も観たけど、
彼の良さは描写力があること。
密度のある、パワフルな絵が描けること。
欠点は絵に「動き」がないこと。
「昇り龍」で言えば、
タイトルとは違って龍が昇ってないのだ。
彼のXに彼の入試のときの、
静物着彩を合格後に再現した、
作品が載っている。
それを観るとモチーフ1つひとつは、
それなりに描けているけど、
モチーフどうしの関係が曖昧なのだ。
つまり「空間」が描けていない。
「昇り龍」とおなじ。
「昇り龍」の場合は、
龍の頭部と胴体その他との、
胴体の上部と下部との、
関係が見れてないので、
動きも出るはずがないし、
空間も表現されるはずがない。
要するに彼は受験生のときから、
ひとつのものを描写する腕は、
みがいてきているけど、
それ以外のことは軽視してきたのでは、
という気がするのだ。
それから、もうひとつ大事なこと。
再現作品のモチーフに、
リンゴやカボチャがあるけど、
どちらも美味しそうにないのだ。
つまりモチーフの、
最も重要と言っていい要素が、
感じとれていない。
五嶋さんは何よりその感じとる能力を、
身につけることだと思う。
一所懸命に描くだけでなく、
心をおだやかにして、
モチーフと向きあう。
自分の絵と向きあう。
そうしてそれらと「対話」できるようになれば、
今まで描いてきた絵を、
かなぐり捨てたくなると思う。
彼は逸材。
ぜひともそうなってほしい。
人の絵にまたまた小言を言ってしまった。
73歳になっても、
することは変わらない。