『バーナード・ショー』

 (コリン・ウィルソン/中村保男訳/新潮社/1972)

 

アマゾンに注文していたこの本が、

今日届いた。

 

最近ずっと通常配送で翌日到着、

という好運が続いていたけど、

古本なので3日かかった。

 

バーナード・ショーの本を、

読みたいと思っていた。

もう、ほんと長いこと。

 

しかし彼の本は戯曲ばかり。

僕は戯曲は読む気にならないので、

結局この歳になるまで、

1冊も読まないままだった。

 

先日アマゾンのサイトで、

「バーナード・ショー」

と試しに入力してみた。

 

するとこの本を発見。

コリン・ウィルソンなら文句ない。

僕は大学時代に、

 

『アウトサイダー』

 (福田恆存+中村保男訳/紀伊國屋書店/1957)

 

を読んで彼にハマった。

コリン・ウィルソンは僕の師匠の1人なのだ。

 

なので『バーナード・ショー』の存在は、

当然知っていたはず。

しかしなぜか入手してなかった。

 

そしてコリン・ウィルソンの本は、

やがて手もとにあるものを、

たまに開いてみる程度になったために、

すっかり忘れてしまったのだ。

 

『バーナード・ショー』は、

2段組、約300ページ。

僕は古い人間なので、

2段組、3段組の本に愛着がある。

 

帯のキャッチコピー、

「最も魅力的なアウト・サイダー

 バーナード・ショーの人間像!」

が秀逸。

本が届いて、それだけで興奮しているのに、

そのコピーを読んで興奮度は倍加した。

 

いっけん平凡なコピーだけど、

作為的な表現とは対極の、

素直さ、素朴さが心を捉える。

 

今日は「序論」だけ読んだ。

〈彼の奇妙な鈍感さ〉

という記述に注目した。

バーナード・ショーの〈鈍感さ〉!?

ますますワクワクしてくる。

 

これで読書は「詩の本」を最優先して、

この本と『エピクテトス 人生談義』が、

オマケというかたち。

変わらず3本立て。

『エピクテトス』はご無沙汰しているけど、

もちろん読み切る。

 

 

『サミング・アップ』(行方昭夫訳)で、

もうひとつ触れたい記述があった。

 

〈死を思うと、酔い心地になる。そういうときは、

 死が最後の絶対的な自由を与えてくれるような気がする〉

 

僕は〈酔い心地〉にはならないし、

特別な感情も湧きおこらないけど、

〈絶対的な自由を与えてくれる〉

という気持ちになるのはよくわかる。

 

僕はいま24時間、

自分の好きにすることができるので、

ブログ執筆中心の生活にしている。

 

しかし病院に行くことを始めとして、

買物、料理、洗濯、掃除、ゴミ出し・・・

やらなければいけない、

面倒なことがいくつもある。

 

そのようなことが面倒だなんて、

多くの人は笑うだろうけど、

とにかく癌になって仕事を辞めてから、

人生でいちばん自由な日々を過ごしているのに、

不自由という感覚を、

今も引きずっているのだ。

 

大地に縛りつけられたような、

と言えばいいか、

もっと言えば牢獄にいるような、

そんな感覚がつねにある。

 

そこで〈死を思うと〉、

すべてのクビキを断ち切ってくれて、

大空に羽ばたかせてくれるような、

〈絶対的な自由を与えてくれるような〉、

気持ちになることが僕もあるのだ。

 

 

最後に菜食主義だったバーナード・ショーの、

有名な言葉を書いておこう。

 

「自分には動物の屍体を食べる趣味はない」(訳者不明)