こないだ書店で探して、
見つからなかったのはこの本。
『散歩哲学』
(島田雅彦/ハヤカワ新書/2024)
けっきょく中身がチェックできなかったけど、
アンテナがひらめいたので、
次に読むことにした。
そこで昨日、いつものように、
アマゾンに注文しようとしたのだけど、
何と送料が600円。
しかも到着は数日後。
どういうこと?
あきらめようと思ったけど、
ひらめきが消えないので、
ヨドバシで調べてみた。
すると「NFT電子書籍」とセットになった、
約1.5倍の値段のものしか売っていない。
どういうこと?
「情報弱者」の僕には、
何がなんだかわからない。
いずれにしてもまだひらめいていたので、
楽天ブックスも超ひさしぶりに覗いてみた。
あきらめないでよかった。
そちらでは普通に、
送料無料で付属品なしで売っていた。
そして到着は翌日。
ちなみにアマゾンの600円は、
昨日午前の話。
夕方には460円になっていた。
そして今夜になって、
もう1度チェックしてみると、
ふたたび600円になっている。
ほんとに、どういうこと?
本は予定どおり今日昼頃に届いた。
ハヤカワ新書を手にするのは初めて。
装幀者がしるされてないけど、
装幀が良くない。
とくに本体。
表紙も中ページも、
出来の悪い美大受験生が、
頑張ってデザインしたような印象。
品位という重要なものが欠けているし、
表紙や扉の幾何図形の扱いも幼稚。
装幀者は十中八九、男。
女性の場合は普通そんな、
別の例えを用いれば、
田舎者がカッコつけたような、
みっともないデザインはしない。
それはさておき、本を2ページほどめくると、
こういう言葉が書かれていた。
〈よく歩く者はよく考える。
よく考える者は自由だ。
自由は知性の権利だ〉
これが島田雅彦さんが、
この本で言おうとしていることだろうけど、
ま、とにかく、粛々と読みすすめよう。
島田雅彦さんの著書を、
前に読んだのはいつだろうか。
気になって書棚を眺めてみると、
彼の著書もだいぶ処分しているので、
断言はできないけど、
おそらくこれだと思う。
読み終えた日付けは、2017/12/19。
『深読み日本文学』
(インターナショナル新書/2017)
7年ぶりに開いてみると驚きの記述。
〈散歩は常に内省を促します〉
忘れていたけど「散歩哲学」は、
すでにその本の中で語られていた。
あともう2つ、印象的だった記述を孫引きしよう。
〈人間の、又人性の正しい姿とは何ぞや。
欲するところを素直に欲し、厭な物を厭だと言う、
要はただそれだけのことだ〉
〈住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、
詩が生れて、画が出来る〉
上は坂口安吾『堕落論』。
下は夏目漱石『草枕』。
上については安吾の影響かどうかわからないけど、
僕もずっとそう思っている。
下についてはこれまたすっかり忘れていたけど、
生まれながらにしてデラシネで、
どこの町にも馴染まない僕を、
喜ばせてくれる言葉だ。
とはいえ、いまだに〈詩が生れて、画が出来る〉、
という運びになっていないということは、
僕には当てはまらない論理かも知れないけど。
今日は、YouTubeのほうでは、
おととい公開の、
「historica」初の1時間超え作品を、
ようやく観終えた。
それだけ長いとどうしてもいっぺんには観れない。
今回は紀伊長島と尾鷲のあいだにある、
紀北町の廃墟「向井集落」の探索篇。
最後に地元の96歳の長老が、
もともとは「向井」ではなく、
別の名前だったことを教えてくれる、
という展開が申し分ない。
そういう理想的な展開にならなくても、
「historica」はブツブツ言いながら、
ダラダラと歩くところが面白いのだから、
長尺のほうが向いている気がした。