SOMPO美術館で、
「北欧の神秘ーーノルウェー・スウェーデン・
フィンランドの絵画」
と題された展覧会が開かれている(3/23〜6/9)。
その記事を読んだ。
記事には絵もたくさん載っている。
ただ、どの絵も魅力はあるのだけど、
欠点も目につく。
名作と言えるほどの絵はなかった。
たとえば、アンデシュ・ソーン作、
「コール・マルギット」(1901)
という作品が、
スウェーデンでは誰もが知る名作、
と紹介されているけど、
画面中央に配置された老婦人の、
ベンチに腰掛けて編み物をしている姿が、
可愛らしくて好印象をもたらすとはいえ、
ただそれだけの絵なのだ。
その絵のいちばんの欠点は、
体が描けてないこと。
つまり服を着ているので、
顔や手を除いて体は隠れる。
なので服を描くことによって、
その下にある体を、
表現しないといけないわけだけど、
たとえばスカートに隠れた、
膝の位置が曖昧なので、
どこで膝が曲がっているのかわからないのだ。
そしてスカート全体の表現が怪しいために、
ごく普通に腰掛けている風なのに、
下半身を不自然によじった状態で、
坐っているように見えるのだ。
あと、粗いタッチを使いこなせてないし、
上着が重く固くなりすぎているし、
なぜ国民的名作なのかわからない。
ひとつだけ気に入った絵があった。
J・A・G・アッケ作、
「金属の街の夏至祭」(1898)
という幻想的な作品。
街の人たちが河原のような場所に集まって、
ハープを奏で、歌い踊っている。
背景はビルが立ち並ぶ街の風景。
人間をオレンジ色で浮き立たせ、
それ以外のスペースを、
グレイッシュな色彩で沈めているのだけど、
その色彩のハーモニーが素晴らしい。
ただその絵も、画面の四辺が、
おなじように力が抜けているので、
画面が小さく貧弱に見えるという欠点がある。
未知の名作に出会いたいけど、
その機会は滅多に訪れない。
昨日のレジーナの試合の、
ハイライトを何度も観た。
2点目の立花葉(たちばな・よう)選手の、
アシストが絶妙。
その立花選手の試合後のコメントを、
公式サイトで読んで、
彼女について書きたくなった。
その2点目は左コーナーキックから始まっている。
ゴール正面に送られたボールが、
競り合いでこぼれて、
左サイドのPAライン付近に居た、
立花選手のところに転がってくる。
そして彼女が逆サイドにクロスを上げると、
待ち構えていた選手が、
ヘッドで決めるという流れ。
コメントによると、
他の選択肢もあったけど、
瞬間的な判断でクロスを選択したとのこと。
彼女は156センチと小柄。
もちろんパワーは無いし、
足が速いわけでもない。
ドリブルが上手いわけでもないし、
スタミナも充分とは言えない。
つまり、これといった特徴のない選手。
レジーナにもセレクションで、
オマケのようなかたちで加入している。
なので彼女は、プロ選手として活躍するためには、
「サッカー脳」を鍛えるしかない、
と思って練習に励んできたに違いないのだ。
いちいち考えなくても、
状況に応じて最高の判断ができる選手になること。
その「涙ぐましい」努力は確実に実りつつある。
中村伸監督も今季いちばん成長した選手として、
彼女の名前を挙げている。
彼女は幼少時をアメリカで過ごし、
いったん帰国したあと、
大学はまたアメリカという異色の経歴。
しかも現役のあいだに起業したいとも、
インタビューで答えているし、
フツーの人ではない。
彼女がこの先どういう人生を送ることになるのか、
興味があるけど、
僕に残された日は少なく、
残念ながら長く見守られそうにない。