『ウォールデン 森の生活(上)』(今泉吉晴訳)

を読んでいると、

2人の素敵な青年が登場した。

 

ともにヘンリー・D・ソローの、

森の住まいの訪問者。

1人は〈きこりと杭作り〉が仕事のカナダ人。

もう1人は〈おとなしい、精神遅滞の貧者〉。

 

2人の話を読んでいると、

心が洗われる。

 

たとえば、こういうエピソード。

 

〈1日50本の杭を作り、それを立てて柵にする穴を掘〉った、

〈もの静かにひとりでいながら、いつも楽しそうだった〉、

〈いつでもどこでも完璧に自分〉だった、

そして、

〈まったく! 森で木を切っていれば、いくらでも楽しめるんです。

 ほかに楽しみや遊びなんていりません〉、

〈神に誓って言いますが、これまで生きてきて、疲れたことなんて

 1度もありません〉

と言ったカナダ人に、あるときソローが、

〈プラトンによる人間の定義ーー人間とは羽毛のない

 二足動物であるーーを耳にしたある人が、羽毛をむしった

 鶏を手にして、おおプラトンの言う人間だ、と言った話を〉すると、

〈彼は、人間と鶏は膝の曲がり方が逆で、それは重要な違いだ

 と思う、と見事な指摘をし〉た。

 

ソローは彼について最後にこう述べている。

 

〈彼は、貧しい暮らしゆえに無学で目立とうとしない層の人々の中に、

 天才がいることを証明していました〉

 

 

もう1人の青年のエピソードは、

僕的にはもっと感動的。

 

ソローを訪ねた彼は、

あなたのように生きたい、

と言ったあと、

〈謙虚さを超えた何かと言えばよいのか、

 もっと違う何かなのか、

 判断がつきかねる何かをもって〉

次のように言ったのだ。

 

〈私は“知力に欠けたところがある“のです〉

 

『ウォールデン 森の生活』は、

素晴らしい本だと思う。

毎日すこしずつ読んでいるけど、

毎日こころに響く出会いがある。

 

 

サンフレッチェ広島レジーナは、

一昨日、WEリーグ本部が定めた、

「WE ACTION DAY」

の取り組みをおこなった。

 

彼女たちがいつも練習している、

広島経済大フットボールパークで、

同経済大女子サッカー部の、

選手たちとのディスカッション。

 

テーマは、

〈小中高大、社会人になっても女性がサッカーを

 続けるために必要な環境〉

 

そのレポートが公式サイトで、

公開されたので見てみると、

結論としてレジーナが出来ることは、

 

1. 小学校訪問や地域との交流

2. 結果を出してサッカーをしたいと思ってもらえる

  子どもを増やす

3. 女性を対象にしたサッカーイベント

 

とのこと。

1と3はむずかしいことではない。

問題は2だ。

 

レジーナ設立の目的どおりに、

広島を中心に、西日本に、ひいては全国に、

女子サッカー文化を浸透させて、

女子選手に好環境を提供するためには、

レジーナがつねに強くて、

チームも選手も魅力的であることが、

大きな条件だろうけど、

有能な監督の招聘と合わせて、

サンフレ男子のように、

日本一素晴らしいユースをつくることが、

何より重要だと思う。

 

前にも書いたことだけど、

ユースの評判が良ければ、

全国の中学生が入団を希望するようになり、

女子の「大迫敬介」「満田誠」「加藤陸次樹」がやって来る。

そうなれば自然とトップチームは強くなる。

ジュニアからトップまでの、

体制も盤石になっていく。

 

男子の吉田町のように、

マザータウンができればいいけど、

簡単な話ではない。

 

ジュニアユースの面々が、

この春から中3になった。

ユースの始動は1年後。

 

すでに監督だけは、

WEリーグ「相模原」「埼玉」の監督を歴任した、

田邊友恵さんに決まっているけど、

他のことはどこまで考えられているのだろう。

まったく情報がない。

 

クラブがどういう名案を出してくるのか、

僕は期待して待っている。

 

いや、「期待して」と言うほど、

楽観はしてないけど。