『天はあおあお 野はひろびろ』

のアイヌにまつわる2篇を読んだ。

 

僕はアイヌに関しては、

ろくに勉強していない。

 

いま書棚を眺めると、

 

『アイヌ神謡集』

 (知里幸惠編訳/岩波文庫/1978)

『アイヌ人物誌』

 (松浦武四郎/平凡社ライブラリー/2002)

『静かな大地 松浦武四郎とアイヌ民族』

 (花崎皋平/岩波現代文庫/2008)

『アイヌ学入門』

 (瀬川琢朗/講談社現代新書/2015)

 

の4冊が見つかった。

これらの本をサラッと読んだだけ。

他には読んでないと思う。

 

僕は部落の人たちもそうだし、

「虐げられた人びと」について、

理解を深めたかったので、

勉強したい気持ちはあったけど、

癌になるまでは、

酒を飲んで酔っ払う毎日。

残念ながらアイヌまで手がまわらなかったのだ。

 

癌になってからも、

アイヌの優先順位は高くはなかった。

いまは勉強したいと思うけど、

もう人生の残り時間が、

なくなってしまっている。

 

 

1篇目「新法とウポポイ」から、

いつもとはおもむきが違う、

事実を記しただけの「今日の言葉」。

 

〈オーストラリアでは国土の4分の1が、

 先住民に返還された〉

 

池澤夏樹さんは次のようにも述べている。

 

〈現行の国際法に照らし合わせて、

 アイヌの土地の没収は合法的だったか?

 そうでないならば土地をアイヌに返すべきではないのか。

 そこまで含めての先住権の認定ではないか〉

 

〈先住権の認定〉とは、

〈2019年5月に施行された「アイヌ施策推進法」で

 初めてアイヌは先住民としての地位を得た〉

ことを指している。

 

僕もオーストラリアに倣って、

アイヌの人たちに、

奪った土地を返すべきだと思う。

それができないのがこの国の駄目なところ。

 

池澤さんはこの国のことを、

〈この保守反動の国〉

と述べている。

ほんとに残念な国だと思う。

 

 

2篇目「マンロー邸と新しいアイヌ史」に、

ニール・ゴードン・マンロー(1863〜1942)

という人が登場する。

僕は初耳。

というか、たぶん忘れていた。

 

スコットランド生まれで、

船医として日本にやって来て、

そのまま居つき、

1932年に北海道に渡って、

二風谷で医師として活動しながら、

アイヌの研究をし、

多くの業績を残した人。

日本に帰化もしている。

 

そのマンローさんが暮らした、

「旧マンロー邸」(現北大文学部二風谷研究室)を、

池澤さんが訪ねて行ったときのことが書かれている。

 

その旧邸は〈童話の中の一場面のようだ〉、

ということなのでネットで写真を見てみると、

たしかに素敵な洋館。

 

僕が実際に目にしたのは、

札幌の時計台や、

北大のいくつかの校舎だけど、

北海道にはホレボレするような洋館が多い。

 

マンローさんのWikipediaを見てみると、

面白いのは4回も結婚していること。

欧州人と日本人、それぞれ2度ずつ。

 

しかも最後の妻で、彼が亡くなるまで、

ともに医療活動をした日本人看護師とは、

不倫というかたちで交際が始まっている。

 

公私ともに情熱的というか、

恐れを知らない人だったのかも。

 

 

桑原千代子さん(1923〜86)という人の、

『わがマンロー伝』(新宿書房/1983)

という本が紹介されている。

 

そちらも読んでみたいけど、

時間がない。