『ウォールデン 森の生活』(今泉吉晴訳)

を読んでいて、

奇妙な解説に遭遇した。

 

当時めずらしかった、

鉄道にまつわる話の中に、

〈シェラネバダの巨大な岩〉

という表現が出てくる。

 

そのシェラネバダのことを、

訳者はページ下段の「註」で、

〈スペイン南東部の山脈〉

と解説しているのだ。

 

こないだ買ったばかりの、

『最新基本地図-世界・日本-48訂版』

 (帝国書院/2023)

をひらくと、

たしかにスペイン南東部、

アンダルシア地方に、

ネバダ山脈(Sierra Nevada)がある。

近くの有名な都市は、

ピカソを生んだマラガ。

 

しかし著者のヘンリー・D・ソローは、

ヨーロッパの話なんかしていない。

そこまですべてアメリカの話。

 

なのでそのシェラネバダは、

そう、僕もその山中の、

ヨセミテ国立公園に行ったことのある、

カリフォルニアのシェラネバダ山脈、

と考えるのが普通だと思うのだけど。

 

僕の読みが浅いのだろうか?

 

 

『天はあおあお 野はひろびろ』

では次の箇所が印象的。

 

〈1965年に来日したフォークナーは、

 「我々は敗戦国の民だから」と言った。

 彼は自分を南北戦争に敗れた南部の者と

 意識していたのだ〉

 

僕はフォークナーは池澤夏樹さん編集の、

世界文学全集に収録された、

『アブサロム、アブサロム!』(篠田一士訳)

しか読んでいない。

なのでまったく詳しくない。

 

そして僕は第2次大戦終結後、

6年目に生まれているけど、

戦争を知らないので、

敗戦したという実感はない。

 

南北戦争は1861〜65。

フォークナーは1897〜1962。

敗戦という意識を、

そんなに強く持つものだろうか、

と思ったのだ。

 

 

昨日あえて書かなかったのだけど、

「天はあおあお 野はひろびろ」

というタイトルが、

アイデアを突き詰めていって、

この表現に行き着いたという印象が薄い。

 

「あおあお」「ひろびろ」と続けると、

壮大な北海道の風景を、

いちおうは表しているとは思うけど、

僕的には語感がスッキリしないのだ。

 

なので自分でも考えてみようと思った。

 

このタイトルは、著者によると、

古代中国の詩、

「敕勒歌(ちょくろくのうた)」(作者不明)にある、

〈天蒼蒼 野茫茫〉

を借りたとのこと。

僕もチャレンジ。

 

結果はこちら。

「天、かぎりなく青く

 野、はてしなく続く」

 

残念ながら池澤夏樹さんには敵わなかった。

タイトな表現が見つからない。

 

ま、でも、こうやってチャレンジして、

結果を明らかにして、

恥をかけば僕の成長は促進される。

僕は恥をかき続けたい。

 

いずれにしても〈天蒼蒼 野茫茫〉を、

切れ味も奥行きもある、

日本語に置き換えるのは容易ではない。

 

池澤さんがそちらを借りようとしたのが、

そもそも間違いだったのではと思った。

 

 

プロ野球が開幕した。

カープは3-4でDeNAに敗戦。

 

ハイライトだけ観た。

BSで中継があるのは知っていたけど、

時間がもったいないので観ていない。

 

カープにとって良かったのは、

相手は絶対的エースだったのに、

打線が活発だったこと。

 

なかでもここ2年、春先苦しんだ、

そして今季は打撃陣を、

引っ張ってもらわないと困る、

小園選手が3安打したこと。

 

あと、絶不調だった、

そしてやはり打線の中核になってほしい、

シャイナー選手に安打が出たこと。

 

とくに悪かったと思うことはない。

田村選手の4三振も逆に良かったのでは。

 

疑問に思ったのは、

オープン戦終盤で調子を上げていた、

久保選手をスタメン起用しなかったこと。

 

彼は守備・走塁が良いので、

ベンチスタートにしたいのはわかる。

しかし彼はミラクルな存在になりそうな、

気配を漂わせている。

そういう選手を重視しないと、

チームは「爆発」しないし、

テッペンは取れないのだ。

 

とりあえずそんな感想を持った。