わが年賀状。
住所と名前は「賀正2023」の下。
修正テープで消してある。
去年、この年賀状を作成したとき、
完成してプリントしたあとに、
大きなミスに気づいたと書いた。
絵を載せないでその旨だけ書いたので、
何となく消化不良な気分。
で、絵も載せてすべて説明することにした。
まず雲にウサギが乗って、
大空を流れていくというアイデアが浮かんだ。
浮かんだ瞬間、それで行くことにした。
「たかが年賀状」、
よけいな時間はかけたくない。
ただ僕はウサギ年の年男。
見ようによっては天国に旅立ったようで、
縁起が悪い。
しばし躊躇した。
ま、でも、僕的には、
「風に吹かれるままに悠然と大空を行く孤独なウサギ」
という意味の表現だし、
それで押し通すことにした。
次にネットで雲やウサギの写真・イラストを見て、
全体の構図と個々の形を決めた。
最初、タッチを生かしたラフな絵にしようと思った。
粗さが魅力の絵は僕の目指すところでもあるし。
しかし描き始めると、
僕の描写力では無理だということがすぐにわかる。
みっともなくて見ていられない。
そこで方針変更。
タッチを用いないアウトラインだけのスタイルにした。
カーブする線に強弱をつけるとき、
「美」を感じさせるための法則があるのだけど、
あえて無視した。
すべて法則どおりにすると、
かえって陳腐になりやすい。
「ダサい」表現のほうが味が出たりするものだ。
僕の年賀状に味があるかどうかは、
見る人が決めること。
ちなみに村上隆さんの「五百羅漢図」が、
六本木の森美術館で展示されたとき(2015.10〜16.3)、
じっくり見てみたけど、
彼も法則に従ってない線描をたくさんしている。
失敗したと思ったのは、
雲の流れを描いたわけだから、
雲を画面の上方に配置して、
画面下半分を空白にし、
雲とウサギを下から見上げているような、
構図にしたほうが効果的だったと「直感」したから。
絵やデザインを制作するとき、
作品を客観的に認識できるように、
しばしば少し離れた位置から眺める。
それは基本の行為なのだけど、
肝に銘じていても、製作中はどうしても、
作品にのめり込んでしまいがち。
そうなると「悪しき」主観が入り込んでしまう。
で、今回もそうなってしまい、
制作を終えて「のめり込み状態」から解放されたとき、
大きなミスにようやく気づいたという次第。
たまにしか制作しないからしょうがない。
なんて弁解はしない。
ミスはミス。
もうひとつ問題がある。
左上の大きな雲の左端が、
画面のフチにくっつきそうになっていることだ。
これは絵が完成して、
試しにプリントしたときに明らかになったのだけど、
買ったばかりのプリンターなので、
「クセ」がわからなかったためだ。
僕の描いた絵は雲とフチとのあいだに、
もう少し間(ま)がある。
そして当然のことだけど、
その雲の上の部分と上のフチとの間隔と、
おなじにはしていない。
おなじにすると画面の緊張感が失われる。
しかし判明したときは手遅れ。
そこだけ修正するとその雲がおかしなフォルムになる。
その雲も全体も見栄え良くするには「大工事」が必要。
で、あきらめた。
あと、背景は空なので青くしたかったけど、
そうすると面積が広いのでインク代がかかる。
そちらもあきらめた。
ま、そんな感じ。
不満は残るけど、とにかく今現在の表現内容が、
今現在の僕の実力。
自分の未熟さと真摯に向き合うしかない。