酒に関しては何度か話題にしたことがあるので、

重複する部分が生じるかも知れないが、

山口元メンバーが飲酒運転で事故ったことを受け、

あらためて書いてみる。

 

まず言えることは、普通の健康状態であれば、

酒は簡単にやめられないということだ。

理由は何よりも、美味しいから。

 

仕事のない日は、朝シャワーを浴びて、とりあえず1杯。

飲む酒は、ビール、酎ハイ、水割り…そのときの気分しだい。

そのあとも、ずっと気分しだいで、

1日じゅう、酩酊状態。

そんな人がたくさんいるのでは。

 

自分が朝から飲んでいた、言わば人生最高潮の時期は、

ビールで酔っ払ったあと朝寝して、

起きてまたビールを飲んで昼寝して、

夕食時にも何かを飲む、というパターンが多かった。

 

仕事のある日は、帰りがけにコンビニか酒屋に立ち寄り、

紙パックの日本酒を買って、ストローで吸いながら帰った。

帰宅すると、また飲む。

素面で寝床に入るなんて、考えられなかった。

 

元メンバーはまだ40代。

明るいうちから飲んでも、持ちこたえる体力はあるだろうし、

ここに至る経緯がどうあれ、

やめられなかったのは、無理からぬことと同情する。

 

バイクを運転したことに関しても、

酔えば思考力は低下するわけだし、

つい運転したとしても不思議はない。

このたびのような大きな不始末でもシデかさないかぎり、

習慣をくつがえすのは難しいと思う。

こちらも同情する。

 

自分は何度か長期の禁酒期間を設けたが、

飲み過ぎて体調を崩したこと、

そして、それでも酒をやめない自分が嫌になったこと、

その2つが理由だった。

そのまま酒と縁を切ればよかったのだろうが、

結局、酒の魅力に勝てず、

元の生活に戻ってしまった。

 

自分が最初に酒の怖さを知ったのは、

大学で何かの飲み会があったときだ。

当時、大学で飲むとなればビールか日本酒。

たぶん日本酒だったと思うのだが、

すすめられるままに飲んでいると、やがて意識がなくなり、

気づいたときは翌朝。

下宿の部屋で、いつものように布団を敷いて横になっていた。

自分のほかには誰もいない。

衣服に乱れはなく、財布もなくなってなかったが、

気づくまでの記憶がまったくなかったので、ゾッとした。

 

当時は飲みなれてなかったし、酒にも弱かったので、

どうしても酒に飲まれてしまうという事態に陥った。

 

その後も、似たようなケースは何度もあった。

ただ、上機嫌で飲んでいるとどういうハメになるか思い知ったので、

そこまでヒドいことにはならなかった。

 

しかし、なんと50を過ぎて、やらかした。

銀座で友達の個展があり、オープニングということで、

閉廊時刻になると、テーブルにいろんな種類の酒瓶が並んだ。

自分はたまたまワインを開栓することになったのだが、

ひとくち味わってみると、これがもうじつに深い味わい。

いきおい、ハイペースになった。

こんな調子だとヤバいなと、頭の隅で思いつつも、

勢いを制御することができなかった。

 

近くのパブのような店に、場を移したまでは覚えている。

しかし、そのあとはいっさい記憶にない。

気づくと、電車に乗っていて、

終点の佐倉に着いたところだった。

2駅、乗り越し。

折り返しの電車はもうなかったので、

仕方なくタクシーで帰宅した。

 

そのときも財布はなくなってなかったが、

メガネが見当たらなかった。

 

いま自分は、癌になったので飲んでいない。

おかげで体調は良い。

また飲みたくなるかも知れないが、

いまのところその気はない。

いずれにせよ、酒は美味しいが怖い。

 

元メンバーは、この1件で酒を断つことができるのだろうか。

まだ5分5分という気がする。