先日、中田敦彦氏のセカンドチャンネルを観ていると、
マチャアキはもともとミュージシャンだったんだよ、
と中田氏が得意気にスタッフに語っている場面があった。
いつも影の声を担当するその男性は、
声で判断すると、中田氏よりやや若い世代という印象を受けるが、
マチャアキのことをよく知らないようで、
へぇ、そうなんですか、みたいな返事をかえした。
自分のような、ほぼ同世代の人間からすれば、
大スターもいいところのマチャアキも、
若い人たちには、単なるベテランタレントなのだろう。
知らない人も、少なからずいるかも知れない。
ま、当然だろうけど。
自分はかねてより、マチャアキこそ、
芸能界最上位に君臨する人物だと思っている。
とにかく、華があって、多芸多才。
いい声をしていて歌も上手い。
司会も役者としても一流。
ユーモアセンスもファッションセンスも抜群で、
男前で、
名優の父親を持つ毛並みのよさ。
そして、10代から74歳になる今日まで、
第一線で活躍し続ける息の長さ。
何ひとつ欠点が見当たらない。
こんな人、他にいない。
スパイダースのときの「夕陽が泣いている」に痺れた。
あの曲、あの声、あの歌いっぷり。
歌謡史のひとつの頂点だと思っている。
スパイダースのステージは、
マチャアキと順ちゃんのトークも最高だった。
その後2人は、さらにトーク力に磨きがかかり、
歌番組などの司会者として成功したが、
そのようになることを、予想しなかった人はいないだろう。
あと、スパイダースといえば、
もう1人の大スター、かまやつひろしの、
「どうにかなるさ」(詞:山上路夫)に描かれている世界に共鳴した。
仕事にも街にも慣れたけど、
我慢できずにどこかに行ってしまう。
アテはないけど、どうにかなるだろう。
振り返ってみれば、
知らず知らず、あの歌詞のように生きて、
もうじき70歳、というところまで来た。
言ってしまえば、自分の人生は、
あの歌そのものだったような気さえする。
どうせなら、どうにかなるさ、をつらぬいて、
アメリカでもヨーロッパでも行けばよかったのかも知れない。
しかし、そうするだけの勇気と根性はなかった。