今日のニュース。

笠井信輔アナ、完全寛解。

 

よかった。

笠井アナのことは、何となく顔を知っているくらいで、

テレビで観た記憶もないのだが、

彼は悪性リンパ腫という血液の癌、自分は胃癌で、癌仲間。

ということで、ずっと応援してきた。

 

病床に伏しているにもかかわらず、

ブログ・インスタグラムを発信し続けたのは本当に立派。

抗がん剤治療のツラさを知る自分としては、

点滴で体のダメージが大きいときも更新していた、

彼の恐るべき心の強さを、何はさておき褒め称えたい。

 

笠井アナと自分とでは、

副作用の症状に、いくつか違いがある。

 

まず、笠井アナは髪の毛がすっかりなくなってしまったが、

自分は、かなり抜けはしたものの、半分の量は残った。

次に、笠井アナも自分も味覚障害に悩まされたが、

多くの食べ物を甘いと感じた彼に対し、

自分はニガさを感じた。

 

ブログを読むかぎり、

彼の場合は、ひどい味覚障害ではなかったようだが、

自分の場合は大変だった。

何しろ、なんとか喉を通るのは、

いくつかの果物や茹でタマゴやプリンや甘い菓子パンといったあたりだけで、

歯磨き粉もニガく感じたから、

日々の暮らしに大きな差し障りが出た。

 

あと、体のむくみに関して。

笠井アナは、ほとんどむくまずに済んだようだが、

自分の場合は、むくみすぎもいいところだった。

 

抗がん剤治療が始まると、

いっぺんに食欲が減退するから、あっという間に激ヤセ。

このまま行くと、体重がなくなるんじゃないかと心配していたら、

今度は急にむくみ始めて、たちまち激太り。

20キロ落ちた体重をすぐに取り返した。

 

顔は両頬がふくらんで垂れ下がり、

こめかみから額にかけても腫れ上がって両眼がつぶれ、

よく見えなくなった。

お腹は太鼓腹になるし、

両脚は付け根からカカトまでおなじ太さになり、

鏡に自分の姿を映すと、まったく別人というか、

人間とは思えないような印象だった。

 

さらに言えば、

苦しい治療をすべて乗り越えた笠井アナは偉いというほかない。

自分は挫折した。

 

自分の場合は、入院して治療した笠井アナと違って、

通院での治療だった。

治療法も、笠井アナは24時間ぶっ通しの点滴を数日間続け、

しばらく休んでまた続けるというサイクルだったが、

自分の場合は、2週間薬を飲み続け、1週間休み。

そして、そのサイクルの初日に2時間ほど点滴をした。

 

その3週間ワンセットの治療を8回繰り返すのだが、

体のダメージが大きすぎて、

6回終わった段階で、先生に、もう無理です、

と申し出たのである。

 

情けない話だが、むくんだ脚に力が入らないので、

例えば階段を上るときなど、両手で手すりをつかんで、

腕の力で体を引っ張り上げるしかスベがなく、

自宅のある4階に到達すると、

全身脱力するようなありさまだったから、

もう抗がん剤を体に入れるのは不可能だと判断するしかなかった。

 

笠井アナと自分との決定的な違いは、

彼はめでたく寛解したが、

自分の場合は特殊な胃癌で、まだ正体が解明されておらず、

寛解にならないことである。

 

再発しやすい。

転移しやすい。

進行が速い。

 

自分の場合は、3拍子そろった、きわめてタチの悪い癌なのである。

 

前回の検査は問題なかった。

だから、2ヶ月後にある次回の検査までは安閑としていられるが、

検査後は、あっさりと暗転するかも知れない。

 

誰においても一寸先は闇ではあるが、

自分の場合、その可能性はうんと高い。

 

いま、束の間の平安を噛みしめている。