プロ野球の開幕日が決まった。

ひと安心。

今季は開幕しないで終わってしまう。

そういう懸念もなくはなかっただけに、

やれやれである。

 

6月半ばの開幕だと、

試合数をたくさん減らすこともないし、

その点でもホッとする。

 

しばらくは無観客試合とのこと。

これは無理もない。

いまは開幕できることを喜んでいればいい。

 

しかし、残念といえば残念。

自分はもう球場に行かないので関係ないが、

ペナントレースで、1試合だけ観ることができるとしたら、

自分なら、相手チームに関係なく、迷わず開幕戦を選ぶ。

開幕戦の、これから始まる大きな出来事を前にした、

まさに嵐の前の緊張感は、何ものにも代えられない魅力がある。

 

その最高に魅力ある緊張感を、

今季は関係者以外、誰も現場で味わうことができない。

残念といえば残念、というほかない。

 

これまで開幕戦は何試合か観てきた。

いくつかのシーンを、いちばんハッキリ覚えているのは、

最初に観た、1969年の中日戦。

もう別のところに何度も書いたことがあるが、

ミスター赤ヘルのデビュー戦でもある。

 

8回まで先発の小川健太郎がカープを完封していたが、

最終回に山内一弘が同点2ラン。

延長戦に入って、おなじく山内が、

リリーフの板東英二からサヨナラ本塁打。

あんなに興奮した試合もなかなかない。

 

村上春樹が外野席で寝転んで観戦していて、

「そうだ、僕にも小説が書けるかもしれない」

(『職業としての小説家』スイッチ・パブリッシング2015年刊 P.42)

とひらめいた1978年の神宮でのヤクルト戦は、

自分も内野席で観ていたのだが、記憶が曖昧である。

 

というのも、1975年もおなじ神宮で開幕戦があって、

そのときはルーツ監督に興味があったからか、

開幕3連戦をすべて観ていて、

その3試合と78年の開幕戦が、いずれも好天に恵まれたこともあり、

ごっちゃになっているのである。

 

カープに関していえば、

今季も楽しみなことはいっぱいある。

いちばんは、何はさておき新監督の采配である。

これまでのところ、田中広の重用しすぎが気になるが、

本番での柔軟な対応を期待するしかない。

 

ちなみに自分的には、小園の才能が素晴らしすぎるので、

田中広はトレードで放出してもいいのでは、と思っている。