その昔ロンドンに留学していた友人が、

つい先日、ロンドン北部ハムステッドに住む、

知り合いの女性にスカイプしたところ、

周辺で開いている店は、

新聞や雑誌などを売っている店と、

入店するには電話予約が必要なスーパーくらいで、

普段は人通りの多いハイストリートも閑散としているとのこと。

地下鉄も、土木・建築現場で作業する人たちを除けば、

利用している人はほとんどいないとのこと。

こちらの国より、厳格に対策されている模様。

 

ハムステッドは、自分もロンドンに行ったとき、

ハムステッド駅に程近い、その友人の下宿先に泊めてもらったので、

様子はある程度わかるのだが、

やはりよく言われる、高級住宅街という表現にふさわしい、

家々の佇まいが魅力的。

 

遠い昔、安部譲二少年も遊んだ広大な公園、

その一角にはフェルメールを所蔵するケンウッドハウスも控える、

ハムステッド・ヒースも1度だけ散歩したことがあるが、

起伏に富んだ、大らかな地形が自分は気に入っている。

 

食べ物の話をするとタルホ先生に怒られるかも知れないが、

ハムステッドにまつわる話をついでに3つ書いておこう。

ちなみにフェルメールは見たはずだが、

何も記憶に残っていない。

 

1つ目は、上記ケンウッドハウス内のレストランで食べたスコーンが、

昔懐かしい味で美味しかったこと。

ロンドンでは、街なかのセブンイレブンで、

焼き立てのコッペパンを買ってすぐに熱いうちに食べたことがあるが、

こちらも同様の懐かしい味で、こんなパンを毎日食べられるのなら、

今すぐにでも、そして一生ロンドンに住みたいと思ったくらいである。

しかし、中国の本場の饅頭も同様の懐かしさがあって、

自分的には惚れ惚れするほど美味しいのだが、

もはや自分の住む国ではその味をまず味わうことはできない。

どうして、その懐かしさを捨ててしまったのだろう。

不可解でならない。

 

2つ目も美味しかった話。

留学時にハムステッドに住んでいたという、

先頃不倫で話題になった女優ご推薦の、

駅近くのイギリス料理のレストランで、

ビーフシチューのような肉料理を注文したら、

ご推薦どおり抜群の味だったこと。

そこだけでなく、ロンドンには、

他にも美味しいレストランはいくつもあったし、

イギリス料理が特別不味いという印象は、とりあえず自分にはない。

 

最後は、マヌケな話。

ある日の夕方、野菜不足になってはいけないと、

上述のレストランの裏手にあるスーパーで袋詰めのカット野菜を買い、

宿泊先に持ち帰って、空腹だったこともあり、

友人の帰宅を待たずに、そのまま何もつけずに食べ始めると、

全体に固くて噛み砕くのがタイヘン。

しかし、おそらくイギリスではそれが普通なのだろうし、

郷に入っては郷に従えで、

我慢してゆっくりゆっくり噛み砕いていると、友人が帰って来た。

そこでさっそく、イギリスの野菜は固い、ととりあえずこぼしてみると、

袋を見た友人から、

あっ、それはサラダ用ではなくて炒め用の野菜ですよ、

という返事がかえってきたのだった。