去年の今頃は癌であることがわかって、

わかったけど初めてのことでもあり、

癌という実感がなくて、

あともう1度桜が見れるのだろうかと、

ぼんやりと思ったりしていたのだが、

何とか生き延びて、見ることができた。

 

抗癌剤の副作用で生きた心地がしない日々が長々と続いたが、

今は手足のシビレが残るだけで、

とりあえずまともな日常生活を送ることができている。

担当していただいた先生方には、

何はさておき感謝するばかりである。

 

副作用で大変だったのは、全身のむくみと味覚障害。

治療が始まると、いっぺんに食欲がなくなって、

一気に体重が20キロ落ちた。

このままいくと、本当に骨と皮だけになってしまうと心配していたら、

しばらくしてむくみ始め、あっという間に元どおりの体重になった。

 

しかし、20キロ取り戻したはいいが、

言うまでもなく水ぶくれ。

身体全体が異常をきたしたが、とりわけ足に力が入らず、

足の力だけで、階段を上ることは不可能だった。

さいわい腕は通常どおり機能したから、

手すりに手をかけ、力いっぱい引っ張ると、

身体が持ち上がり、1段1段上ることができて、

4階の自宅まで、長い時間がかかったが、毎回何とか到達することができた。

 

味覚障害は、何でもニガく感じた。

練り歯磨きまでニガかったから、本当につらかった。

ただ、果物や菓子パンなど、普通に食べられるものもあったので、

苦しみつつも数ヶ月間、かろうじてやり過ごすことができた。

 

しかしおかしなもので、障害のある時は、どんな料理もやたら美味しそうで、

回復したらあれもこれも食べてみたいという強い欲求があったのに、

いざ回復してみると、俄然視野は狭まり、

いつもの自分が作れる料理だけで満足しているのである。

 

いま残っている手足のシビレもかなり強烈で、

なかなか状態が上向かないが、

こちらも回復したら、苦しい日々のもろもろを、

すっかり忘れてしまい、何事もなかったかのように振る舞うのだろう。

 

いずれにしても、運を天にまかせ、粛々と、

前にも書いたが、泰然自若の心構えでいくしかないと思っている。

 

 

下の写真は、昨夕、食料の買い出し帰りの近所の公園でのショット。