殿様は「明治」をどう生きたのか | 山中伊知郎の書評ブログ

殿様は「明治」をどう生きたのか

 ここに出てくる殿様は松平容保や山内容堂、松平春嶽といった幕末期の歴史を飾った人物や、「十六代様」徳川家達のように

、明治以降も活躍したメジャーな面々が並んでいる。蜂須賀家の当主のように、普通に外務官僚として活躍した人物もいる。だいたいは石高も高い大大名。その中で異色なのが、わずか一万石。上総の請西藩・林忠崇だな。自ら脱藩して新政府軍と闘ったあげく、職を転々として生活困窮。人の家の離れに住まわしてもらって、ビンボー農民として土地を耕すようになったとか。ただ惨状を見かねて手を差し伸べる人があり、ようやく華族としても列せられ、94歳の長寿を全うしたという。

 まあ、よく生き抜いたね。