東京最後の異界 鶯谷 | 山中伊知郎の書評ブログ
- 東京最後の異界 鶯谷 (宝島SUGOI文庫)/宝島社
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ヒェー、鶯谷か・・・・と、まずは本を手にして、軽くため息。
著者は風俗ライターとしてはトップクラスの高名な人物であり、その人が「異界」鶯谷を描くのだから、まあ、相当
ディープでレベルの高い内容になるのは予想できたものの、どこかで、あんまり鶯谷、いじってほしくなくな、という
気持ちもあったのだ。
なんていうか、私にとっては「故郷」のエリア内なのだな。
一応、言っておくと、私が生まれたのが文京区根津。今、けっこうテレビでもよく取り上げられている「谷根千」の「根」
にあたるところ。だから鶯谷とは目と鼻の先。しかも、大学出てすぐに一人暮らししたのが上野桜木で、最寄り駅は鶯谷。
要するに、地元民みたいなもんだな。ただ、一方で、そこで遊んだ経験もないから「風俗の拠点」としての鶯谷はまったく
知らない。
丘の上の霊園や博物館の「聖」と、丘の下のラブホテル街の「性」が共存する街、というのは実感としてわかりつつも、
まあ、それはおおっぴらにしなくても別にいいじゃん、といった妙な「郷土意識」はある。
なんなんだろう、こんな感触。
自分でもよくわからないまま、つい、この本に乗せられて、久しぶりに鶯谷駅に降り立ってみた。国立博物館があまりに
駅に近かったのを思い出し、ちょっとビックリ。