(この記事の写真は本文の内容との直接の関連はありませんが、賑やかしに入れています。)

 

 

 20年くらい前でしょうか、自分が何者かわからなくて、やたらとネットサーフィンをしていた頃に、外国の観光地みたいなところで、男女のカップルにお願いして服を交換してもらうというサイトがありました。

 

 

 着替え前の写真と着替え後の写真。結構面白がって応じてくれるカップルもいるんですが、そもそも身体の大きさが違うので、男性はツンツルテン、女性はブカブカの服を着ることになります。

 

 

 その見た目はというと、男性は違和感ありまくりで滑稽なのに対して、女性は全然おかしくない、逆に元の服より可愛くなっちゃったりする人もいます。

 

 

 これは女性が男性っぽい服、或いは男性の服を着るのが一般的で、ファッションのひとつとして馴染んでいるし、逆に華奢見えで女らしさを引き立てたりするんでしょう。

 

 

 反対に、男性が女性っぽい服や女性の服を着ると変に見えて、気持ち悪がられたりします。変態だとか言われちゃう。この違いは何なんだろう。単に慣れの問題?

 

 

 「女装男」という言葉はよく聞くけど、「男装女」というのは聞いたことがありません。女が男装していても普通の女のファッションとしてしか認識されないものね。

 

 

 「女装男」という言葉のイメージとしては、女装していても男丸出しみたいなネガティブなニュアンスがありますよね。ニュースでも加害者や犯人には男、女が使われて、被害者には男性、女性という言葉が使われることが多いと思います。

 

 

 だから、トホホ記事でもほとんど「女装男」が使われています。じゃあ、悪くない女装者のことはそれと区別して「女装男性」と言ったほうがいいのかしら。

 

 

 「女装男子」というと、なんかメイド服かセーラー服を着なくちゃいけなさそうな感じも漂ってきます。そういう意味では「女装男性」のほうがあまり過不足ない表現かもしれません。

 

 

 「女装男性」なら男丸出しかもしれないし、女性にしか見えないかもしれない。ただ、女装している男性という事実だけを言っている感じがします。

 

 

 先に男装女性が女性としか認識されないという話をしましたが、変装という切り口で考えると、女装男性と男装女性とではどちらが有利でしょうか。要は、どっちがバレにくいかということ。

 

 

 これは多分、女装男性のほうがバレにくいんだと思います。もちろん、男のままじゃなくてしっかりメイクして髪や体型も整えてそれなりの服を着た場合ですよ。男装女性はやっぱり女性にしか見えないのに対し、女装男性のほうが女性と見られる可能性が高いでしょう。

 

 

 なぜかと言えば、男装は男の記号というより男女共通の記号になっているけど、女装は女の記号しかありません。ジーンズは男女が履くけどスカートは女しか履かない。スニーカーは男女が履くけどハイヒールは女しか履かない。

 

 

 つまり、本来男のものだったものは既に女のものにもなってしまっているけど、女しか着ない、履かない、持たないものはたくさんある。だから、そういうものを身に着けることで女と勘違いしてくれるかもしれない。

 

 

 更に、ウィッグとメイクで外見を女性らしく整えることができるのは大きいです。メイクの腕が上がればいろんなところを誤魔化せます。

 

 

 ただ、それだけ男性が女装することのほうがハードルが高いというか、一歩を踏み出しにくい。女装するということは男を捨てて一気に女にならなくちゃいけないから。

 

 

 女性が男装するのは、仮に男装のつもりがなくても、覚悟がなくても女のままできちゃう。女性のファッションと見られがちなので、踏み越えるべき一線がない。

 

 

 最近、学校の制服で性別に関係なくズボンかスカートを選べるようになっているところが増えてきていますが、女子生徒がズボンを履くのに比べて男子生徒がスカートを履くのはかなりの勇気が必要だと思います。

 

 

 例えて言えば、女装男性の場合はいきなり海の真ん中に飛び込む感じ。足がつかないので泳ぐしかありません。うまく泳げないと溺れてしまいます。たまに溺れてるままの人もいますが。

 

 

 男装女性の場合は遠浅の海岸で、足がつくので立とうと思えば立って歩けるので安全と言えば安全。その代わり、泳ごうとしても足がついてしまって泳ぎにくい。

 

 

 そういう意味では、FTMの人にはMTFとはまた違った葛藤があるんでしょうね。