こんにちは。

一恵@リアルタイムです。

 

 黒岩重吾さんの「幻花の牙」という短編集にある作品。

タイトルからして怪しそうですが、どの話も、ちょっとドロドロした人間関係というか、人から受けた報復に仕返しをするみたいなところがあります。

 

 昨年は「倍返し」が流行りましたけどね。

そんなストーリーが多いです。

 

 「男の花弁」の主人公は、日本舞踊の師匠で、その美しい容貌と踊りのうまさを武器に、流派内で出世していく男性。

 

 子供の頃は、その容貌と、貧しいながらも踊りを習っていたので、腕白どもから、「やい、男女め」などとかわらかわれたりしたが、どんなときも抵抗せず、あやまり通しで、女の真似をしてご機嫌を取ったりしていた。

 

 それは、彼らを怖れていたからではなく、つまらない喧嘩でもして自分の色白の美しい顔を傷つけられないためであった。

 

 そうして、彼は誰かしら擁護者となってくれる人を得て、成長していく。

 

 別に女装をするわけではありませんが、この人、性格的にも女性的というか、それも女性性の嫌な部分みたいなのを持っていたりもします。

 

 そして、最後に(この小説はすべて虚構です)というコメントがこの作品にだけ入っているもんだから、逆に誰かモデルがいるんじゃないかと勘ぐっちゃうんですよね。

 

幻花の牙 (角川文庫 緑 268-37)/角川書店
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