私にとっての女装を一言でいうと、趣味のひとつだと思います。つまり、やっている時は楽しいし、夢中になれる。結構のめりこんだり、いろいろ凝ったりすることもある。でも、忙しい時は我慢できるし、しばらく遠ざかることもある。
しばらくできないでいるとストレスは溜まるかもしれませんが、何が何でもやらずにいられないとか、やらないでいるとおかしくなるというほどのものではないから、性同一性障害の人やニューハーフの人にとっての女装とは明らかに違います。
いいですねえ。趣味は女装ですっていうのは絶対に人には言えない、まさに「お父さん、それだけはやめて。」ということをやりたいという私や私の仲間の目標にピッタリの、バカなことの最たるものですね。真剣に女装している人には失礼ですが、そんなもんです。
理想としては、南総里見八犬伝の犬阪毛野だとか、忍者のくノ一のように、普段はおとこなのに、シチュエーションによって必要な時だけおんなに化けてしまって、仲間もそれを認めているというのが最高ですね。自由自在に男と女の間を行ったり来たりできたらいいなと思います。
ただ、練習を重ねていく内に、女物を身に着けていくに従って少しずつ仕種も女らしくなってきて、化粧をする頃には気分もしっかり女の子気分に浸れるようになってきました。この気分をもっと強化すべく、ついに、ついに、女の子モードになった時のキャラクターに名前を付けてあげることにしました。
こう考えたのは男の時の私でしたので、自分の名前という意識ではなく、第三者の女の子の名前を付けてあげるというノリです。
昔好きだった人の名前とか、好きな物語の主人公の名前とかいろいろ考えてみましたが、なかなかピンと来るのがありません。話のついでに、例のサイトの管理人のRさんに相談したところ、いとも簡単に「りちえ」はどうじゃと言われました。
ひらがな変換のまま自分の名前をインプットするたび「りちえ」と出てくるので、女の名前みたいだなあと思っていたそうです。そうは言っても、このままではあまり名前っぽくないので、Rをとってみたところ、いちえになって、「ああ、これ、いいじゃない」という感じで、あっという間に決まりました。
漢字も単純にということで「一恵」にしました。「かずえ」と読む人がいるかもしれませんが、あくまでも読みはイチエです。でもこの名前、イチエちゃんじゃ言いにくいですね。呼ぶ時はイチエさん、ですかね。
名前を付けてもらった喜びを全身で表すイチエ
(ローマ字で Ichie と書いたつもり)
なんか、名前を付けてもらっただけで、女の子の時の自分が実態として存在するような気がして、なりきり度がぐっと高くなったような気がします。感じ方や考え方までが、違ってくるような気がします。今までは単なる気分の問題だったのが、少し別人格が育っていくような期待感。
せっかくですから、自己暗示かなんかをかけて一恵になりきってしまえれば、これはもう趣味の女装ではなくて、女の子が自分の服を着るだけという状態になります。そんな境地にどこまで迫れるか、興味深いところです。