渋谷のFabCafe Tokyoで開催されたイベントに登壇しました! | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

化粧の日本史ブログ by Yamamura

昔の化粧から今の化粧まで、
化粧と社会、化粧と文化に関する
さまざまな話題をとりあげていきます。









サイト内の文章・写真などの複製、無断転載を禁止します

◆江戸時代の女性の髪型が持つ意味や、当時のつけ毛の流通について話をしました!

こんにちは、山村です!


事後報告になりますが、2023年4月14日に、

東京・渋谷のFabCafe Tokyoで開催されたイベント、
『素材としての「髪」の可能性を考える

 - Material Meetup TOKYO vol.13

「Thinking of Human Hair」』に登壇しましたビックリマーク

 

イベントの告知内容がこちらです下矢印

 

 

今回のイベントのテーマは「髪」


近年、動物愛護や環境への配慮の観点から、

ファーフリー、アニマルフリー打ち出したり、

環境にやさしい素材を使う企業が増えています。


そんな中、人間の髪で編まれたニットや、

髪と樹脂を用いて鼈甲を表現するなど、

素材として人間の髪を用いるプロダクトが

新たに注目されているとのこと。


このイベントでは、

プロダクトとしての髪の過去と現在、

未来についてレクチャーと対談をさせていただきました。

一緒に登壇したのは、世界で活躍中の

ヘア&ヘッドプロップ・アーティスト河野富広さんビックリマーク

 

過去に「ジュンヤ ワタナベ」「メゾンマンジェラ」の

コレクションのウィッグを手掛け、

現在は歌手のビョークさんのウィッグメイキングも

担当されています。

 

今回は、自らの創作活動や、

プロダクトとしての髪の可能性についてお話をされました。
 

河野さんのお話に続いて、

過去の髪については私が担当。

 

「髪は何を語るのか」というテーマで、

ヨーロッパで女性の髪が最も高く結い上げられ、

髪型こそがモード(流行)の中心だった

1770年代のモードを紹介!!

 

そして江戸時代の女性の髪型が持つ

社会的な意味や、

当時のエクステ(つけ毛)や入れ毛などの

流通について話をさせていただきました。

現代は、基本的に好きな髪型を

自分で選べる時代ですが、

江戸時代には、髪型が社会的に意味を持ち、

女性はそれぞれの属性によって、

結う髪型が決められていました。

たとえば未婚の女性が結うのは島田髷で、

既婚女性は丸髷と、

未既婚を区別するために結う髪型が違います。

 

そして、ひとくちに島田髷といっても、

高位の武家の娘は高島田、

遊女は潰し島田など、

身分や職業によってもバリエーションがありました。

 

お歯黒や眉化粧の有無によって、

女性の未既婚や子供の有無が可視化されたように、

髪型を見れば、その女性がどんな女性かが

ひと目でわかるのが、江戸時代だったのです。

 

当時の女性が髪を結う時には、

ボリュームを出すために

入れ毛や添え毛を使っていたのですが、

江戸時代には、

抜け落ちた毛を市中から回収する

「落ち買い(おちゃない)」という職業の女性が存在しましたビックリマーク

 

風呂敷包みを頭に載せた左の女性がおちゃない 

『百人女郎品定』 2巻より 享保8年(1723) 国立国会図書館所蔵


江戸時代はリサイクル社会。

髪の毛も再利用されて、

プロダクトとして生まれ変わっていたのです。

江戸時代の私の話を概括すると、こんな感じです。

話のあとは、河野さんとの対談もあり、

60人を超える参加者からの質問も盛りだくさんで、

盛況のうちに終了となりました。

 

髪に関して話をするのは久々だったのですが、

私も楽しい時間を過ごすことができました。

次回は5月26日頃更新予定。