◆平成の「落ちない口紅」はカネボウから！
こんにちは、山村です！
平成が新しい元号に変わるまで、
残すところ１ヶ月余り。
改元を前に、これまでの歴史を振り返る企画が、
テレビや雑誌で花盛りです
化粧に関しても同様の企画が持ち込まれて、
このところ私も忙しくしてました
というわけで、ひさびさのブログ更新です
今回は「平成の化粧モノがたり」の第5弾、
1990年代に大ヒットした
「落ちない口紅」について
朝つけた口紅がすぐにとれてしまう。
食事のとき口紅がカップについてしまうなど、
口紅はとかく落ちやすいもの
そんな女性たちの不満を解消すべく、
「落ちない」口紅は、
戦後の化粧史に、時々でてきました
戦後、最初にブームになったのは昭和30年（1955）。
紅の老舗伊勢半が、
「キッスしても落ちない口紅」という、
当時としては刺激的なキャッチコピーで、
キスミースーパー口紅を発売しています。
伊勢半本店紅ミュージアム発行の
『愛せよコスメ！』（2014年刊）によると、
このとき伊勢半を含めて3社が、
同時に落ちない口紅の商品を発表したそうです。
いったん大流行した「落ちない口紅」ですが、
流行とは移りかわるもの。
そのうち話題にならなくなってしまいます。
「落ちない口紅」は、
昭和60年（1985）にも話題になりました
それが、マックスファクターが発売した
フェイム カラリングオン。
商品説明は、
「思いきり口をつけても色がうつらない。
まったく新しいリップスティック」
発売後にすぐに売り切れになって、
TVにお詫び広告が出た商品です。
揮発性油分を使用していたのですが、
実際のつけ心地はよくなかったそう。
同じ年、資生堂も、
落ちにくさを前面に出した
フェアネス ベジタブルリップを
発売しています。
こちらは揮発性の油分と樹脂製粘着質、
β－カロチン配合の商品。
白い細身の容器で、私も買いました。
でも、残念ながら、
唇がパサついて使用感は今ひとつでしたね
そして、1992年（平成4）の春、
カネボウが発売した
テスティモ ルージュがブレイクします
当時は、口紅だと50万本売れれば
上出来という時代でしたが、
発売後3か月で220万本売れた
大ヒット商品となりました
広告のキャッチコピーは、
「食べてもきれい。キスでもきれい。恋口紅」。
なんとなく、昭和30年の
「キッスしても落ちない」を思い出すコピーです。
この口紅、昆布など褐色の海藻に含まれる、
アルギン酸と水溶性の食用色素を
配合した商品で、
アルギン酸が水分に反応して唇にベールをつくり、
そこに食用色素が定着して
色落ちを妨げるという仕組みでした
容器も揮発性油分が飛びにくいものが
使用されています。
下の写真は1994年のテスティモの広告の一部
食用色素と海藻成分が配合されていると、
しっかり書かれています。
1994年の秋には、
今度は資生堂が落ちない路線の口紅として
レシェンテ パーフェクトルージュNを発売。
これも大ヒットして、
2か月で200万本以上を販売しました
すごいですね
さらに‘95年には、レブロンも、
塗って60秒後に唇に定着するという
レブロン カラーステイ リップカラーを発売するなど、
90年代前半の間は、
「落ちない口紅」の戦国時代が続きます
平成になって、スキンケアに機能が
求められるようになりますが、
90年代前半は、口紅にも、
色プラスアルファの機能が求められた時期
だったといえます。
それが「落ちにくさ」だったのです
でも、この頃の落ちない口紅は、
唇の上で油分が蒸発して固まるタイプ。
そのため、唇が乾燥してツヤ感が不足するなど、
つけ心地は難ありでした
その反動でしょうか、
90年代後半になると、
今度はリップグロスでツヤ感を演出する
時代がやってきます。
口紅の流行といっても、
色だけとは限らないのがおもしろいところです
次回は4月初旬に更新予定。