◆ターゲットは10代、毎日の洗髪はシャンプーの広告から?
こんにちは、山村です!
前回は、昭和40年までの洗髪回数について、
週に1回が基本で、汗をかく夏は、5日に1回から週に2回位が、
一般的だったと書きました。
ところが、昭和50年代から昭和末期にかけて、
若い女性を中心に、この習慣が変わっていきました
理由は、いろいろ考えられますが、
私は以下の3つが大きいと考えています。
① 内風呂や湯沸かし器、シャワーの普及。
② 女性のヘアスタイルの変化。
③ 化粧品会社の広告による啓蒙。
まず、①に関してですが、
昭和50年代になると、家で髪を洗いやすい環境が整いました
たとえば内風呂の普及。
昭和38年(1963)は、全国で約6割の普及率だったのが、
20年後の昭和58年(1983)では9割弱になっています
家でお風呂に入るのが、あたりまえになったというわけです
また、54年には、給湯器と風呂釜が一緒になった
給湯付屋外設置風呂釜も登場
シャワーや炊事にと、
お湯が使える設備がどんどん進化していったことにより、
毎日の洗髪が可能になったといえます
②については、
美容院でのパーマとセットが基本だった昭和40年代に、
ヴィダル・サスーンが考案した、
カットを主体にしたヘアスタイルが世界的なブームに
カットの技術が一気に進歩しました
その結果、ヘアスタイルは多様化。
昭和50年代になると、サーファーヘアをはじめ、
パーマをかけても、
自分で手軽にスタイリングできるヘアスタイルが増えたのです
それが、女性たちの髪への意識を高めることになり、
洗髪回数にも影響を与えたのでしょう。
そして、最後の③ですが、
昭和50年代初期から、毎日のシャンプーを訴求した化粧品会社は、
それまでにも、多めの洗髪回数を提案してきた花王でした
先鞭をつけたのが、
昭和51年3月発売の花王フェザーエッセンシャルシャンプー
初代のCMタレントは、当時16歳の林寛子。
可愛いですね
CMでは、林寛子に
「毎日シャンプーしてもいいくらい」と言わせています。
この新しい洗髪習慣を、
おしゃれに敏感なティーンに訴求しようとしたんですね
写真は、『non-no(ノンノ)』昭和51年(1976)8月20日号の裏表紙。
ここにも「毎日シャンプーしたっていいんです。」
というコピーがあります
そのうち、ミセス向けの美容記事にも変化があらわれました。
昭和54年刊の『主婦の友 生活百科事典 ファミリエ』第8巻、
「美容・おしゃれ・着つけ」には、次のようなQ&Aが
Q 髪が人よりよごれやすいのです。
頻繁に洗ってもだいじょうぶでしょうか
A 髪質に合ったシャンプー剤とリンス剤を使って正しい洗い方をすれば
毎日洗ってもいたみませんし、
そのほうが清潔な髪、美しい髪を保つうえでも望ましいのです
そろそろ、ミセスの間でも、
毎日シャンプーするのが、おススメの美容法になってきたんですね。
ただ、50年代なかばは、
「3、4日に1回が理想的」と書かれた美容記事もあるなど、
毎日までは至っていないな、というのが実感です
私自身のことを考えても、50年代なかばには、
夏は毎日洗っていましたが、
冬は1日おきくらいだった気がします。
毎日洗髪する意識が一気に高まったのは、
昭和50年代末期から昭和60年代にかけて。
昭和62年(1987)には、ついに、
朝シャンが新語・流行語大賞の新語・表現賞に選ばれました
この間に何があったのかは、次回にまた。
予定より長くなってしまいましたが、もう少し続きます。
次回は10月24日更新予定。