昭和初期の令嬢の趣味調べ。令嬢の習い事は多種多様。ピアノ、琴など音楽系は特に多いです。  | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆圧倒的に多い趣味は「音楽」でした!

 

こんにちは、山村です。

 

このところ、

昭和初期の女性について調べています。


大正末期から昭和初期は、

モダンガールとよばれる女性たちが、

最先端の洋装や化粧をしていた時期。

 

モダンガールが話題になった頃に、

洋服を仕立てて、

洋風メイクができた女性の多くは、

経済的に裕福な家庭のお嬢さまが多かった

と思われます。


そうしたお嬢さまの暮らしぶりは、

『婦人画報』などの、

女性誌から知ることができます。

 

今回は、昭和5年の『婦人画報』4月号にある

「令嬢の趣味調べ」の記事に注目してみました。

 

下の写真は、同じ4月号のグラビアにある、

令嬢の写真。

 

 

帽子をかぶった右上の令嬢は、

東京女子医専卒の女医さん。
髪はボブ(断髪)。

さっそうとした、働くモダンガールです。


左上の令嬢は大学教授の令嬢で21歳。

ピアノ劇をたしなんでいるとのこと。
ちょっと垂れ気味の細い眉に、

前髪をパツンと並行にカットした洋髪です。


下の令嬢は、貿易商の令嬢。

南米のブエノスアイレスで、

音楽の研究中のピアニスト。
電気で髪を縮らせるパーマネントウェーブを

かけています。
眉は細めで、リップも洋風にしっかり描いています。
よく見ると、アイメイクもしているようで、

まさにモダンガールですね。


どの令嬢も、ネックレスやブローチなどの

アクセサリーをつけています。

 

これから紹介する「令嬢の趣味調べ」

記事に登場する令嬢たちも、

いずれ劣らぬ、正真正銘のお嬢さまです。

 

政治家や実業家、大学教授など、

インターネットで名前を検索すると、

すぐに見つかるような著名人の父親を持つ、

名家の令嬢が22人。

 

22人のうち、ほとんどの令嬢があげた趣味が

「音楽」でした。
洋風ではピアノ、ヴァイオリン、声楽など。

和風では、琴、長唄、小鼓(こづつみ)などが

続々と出てきます。

 

特に、ピアノを趣味にしている令嬢は、22人中5人。

つまり、高価なピアノが家にあったということです。

 

音楽を鑑賞するのが趣味と答えた令嬢も

数人いました。

 

自分で弾く(歌う)にしろ、聴くにしろ、

音楽の素養があるのが、

上流階級の女性の間では、

あたりまえだった様子がうかがえます。

 

それ以外では、読書、生け花、茶の湯、和歌、

舞踊、日本画、習字、テニスなど。
令嬢は、庶民と違って生活にゆとりがあるので、

趣味の幅も広いです。

 

ありそうで少なかったのが料理。

22人中、4名しかあげていません。
おそらく多くの令嬢にとって、

料理は自分がするものではなく、

女中など使用人の仕事という意識があるのでしょう。

 

上流階級の令嬢が、

まったりと趣味を楽しむ生活をする一方で、

一般の働く女性は、どんな仕事をしていたのでしょうかはてなマーク

 

次回は、同じ時期の一般女性の仕事について、

ご紹介しましょう。

 

12月14日更新予定。