戦後日本。昭和20年代、映画パンフレットの口紅広告 | 化粧の日本史ブログ by Yamamura

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◆華やかな広告が戻ってきた!

 

こんにちは、山村です。

 

毎日暑い日が続いていますね~ヒマワリ

 

ちょうど今は、夏休みの真っ最中! 

「久しぶりに映画でも見に行こうか」なんて、思っている方も多いことでしょう。

 

映画鑑賞は、今でこそ、数ある遊びのひとつにすぎませんが、昭和20年代から30年代にかけては、

庶民にとって、見る娯楽の筆頭にあげられるのが、映画だったのです。

 

とりわけ、最先端のおしゃれや、豊かな暮らしがいっぱい詰まっている欧米の映画は、

復興道なかばの日本人に、夢を与えてくれるエンタテインメントでした。

 

映画には、パンフレットがつきものビックリマーク

そして、パンフレットの裏表紙には、口紅、白粉、香水など、さまざまな化粧品広告が載っていました。

 

下の写真は、昭和29年5月13日に公開されたフランス映画、

「愛情の瞬間」のパンフレット。

 

裏表紙は「オペラ」の口紅の広告です。

 

 

「オペラ」は、大正7年に、はじめて国産のリップスティックを発売した、

中村信陽堂の主力ブランドビックリマーク

 

戦後の昭和23年に、社名も「オペラ」に改称しました。

 

広告のモデルは大胆にも、ハリウッドのセクシー女優マリリン・モンロードキドキ
昔のことゆえ、写真使用の許可など、おそらくとっていないでしょう。

 

真っ赤な口紅をつけて、微笑む姿は色っぽいですねキスマーク

 

昭和20年代の口紅のつけ方は、戦前のように唇の内側に控えめにつけるのではなくて、

アメリカの流行を取り入れて、マリリン・モンローのように、唇いっぱいに塗るようになります

 

マリリン・モンローの映画は、28年に「ナイアガラ」「紳士は金髪がお好き」が日本公開されました。
なにより、彼女は、29年2月に、新婚旅行で日本を訪れているのです。

 

結婚相手は、ニューヨーク・ヤンキーズの元主力選手だった、ジョー・ディマジオ。

マリリン・モンローは日本でも大人気で、取材記者に囲まれ続けたそう。

 

この広告は、まださめやらぬ彼女の来日の話題性にあやかったものでしょう。

 

次の写真は「会議は踊る」のパンフレットの表紙です。

 


昭和6年に日本で公開され、大人気だったドイツ映画が、昭和27年にニュープリント版で再上映ビックリマーク

その裏表紙は「キスミー特殊口紅」の広告でした。

 

 

キスミーについては、これまでに何度か紹介してきたので細かい説明は省略しますが、

「キスミー特殊口紅」といえば、昭和20年代に大ヒットした商品でした。

 

キャッチコピーに「日米共同技術で創る国際級の口紅」とあり、

人気女優、三条美紀(写真の女性)が、アメリカのハリウッド訪問をしたエピソードが載っています。

 

昭和20年代の化粧品広告は、アメリカ志向が強いのですが、

この広告もその例にもれず、といったところでしょうか。

 

のびのびとして、華やかな広告をみていると、

戦後の日本に、ようやく明るさが戻ってきたのがわかります。

 

次回は、8月25日更新予定。